~ 盆唄がつなぐ福島とハワイの姿 ~
「KIPUKA(キプカ)」とは新しい命が誕生する溶岩流の跡地。火山島であるハワイの言語です。写真家の岩根愛さんは「キプカ」という言葉を頼りに、2006年からハワイ、2011年から福島でフィールドワークを行ってきました。
今回の展示は、12年にわたり撮影されてきたハワイと福島の姿をまとめた初の作品集『KIPUKA』の発刊にあわせて行われている写真展です。
ハワイと福島、二つの地をつなぐのは、かつて移民として福島からハワイへ渡った人々が伝えた盆唄「フクシマオンド」です。岩根さんは、ハワイの盆唄を探るために、ハワイと福島を何度も訪れ撮影してきたそうです。
会場には、縦25×横160〜190の大判パノラマフィルムカメラ「コダック・サーカット」で360度撮影されたモノクロ作品14点を中心に展示が構成されています。写っているのは、ハワイの日系一世が開墾したサトウキビ畑の跡地、溶岩流で消失したり忘れられた日系一世の墓地。あるいは故郷を離れ避難している福島の人々と避難地域に指定されている自宅や縁のある場所。共に、かつて多くの人が生活し盆唄など豊かな伝統文化を育んでいた地域です。
「ふるさとに立つ人を中心に、囲んだ円が結んだ一つの島は、離れて暮らす今もなお、彼らの心にいつも見えている。その思いの力があれば、必ずまたそこにたどり着けるのだと、私は彼らから教えてもらっています」と、ステートメントで岩根さんは語っています。
30秒かけてゆっくり360度回転しながら撮影された作品には、離れた地で暮らしながらも故郷を思う人々の心や叫びが写しとられているような気がします。
他に、「フクシマオンド」を踊る人の手にフォーカスした作品や、今年ハワイで発生した溶岩流をとらえた作品、帰宅困難地域で新たな命を育む自然を写した作品など、8点のカラー作品も並びます。
岩根さんの作品に興味のある方、コダック・サーカットの作品に興味のある方は、ぜひ会場へ足をお運びください。
他に、東京・馬喰町のKanzan Galleryと、大阪ニコンサロンの2会場にて岩根さんの作品展が同時開催中です。
【岩根愛写真展「KIPUKA ―Island in My Mind」】
会期:2018年11月24日(土)〜12月22日(土)
火〜金 13:00~19:00/土 12:00〜19:00
会場:KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY(日・月・祝 休廊)
http://www.kanakawanishi.com/exhibition-ph-007-ai-iwane
【同時開催中の岩根愛さんの展示】
会場① Kanzan Gallery(東京・馬喰町)
岩根愛「FUKUSHIMA ONDO」
会期:2018年11月17日(土)〜12月2日(日)
12:00〜19:00(日曜 17:00まで)
http://www.kanzan-g.jp/
会場② 大阪ニコンサロン(日曜休館)
岩根愛写真展「KIPUKA」
会期:2018年11月21日(水)〜12月3日(月)
10:30〜18:30(最終日は15:00まで)
https://www.nikon-image.com/…/s…/events/201706/20181024.html