■作者より

東日本大震災の年、中判のフィルムカメラを譲り受けました。その翌年カメラを携え向かったのは福島県。親族が住んでいることもあり、以前から何度も赴いている身近な土地です。

原発事故の影響も重なり浜通り地区へ出向く決意に時間を要しましたが、震災から三年後いわき市へ。小名浜、平、四倉町を歩きました。また当時乗降可能な常磐線の駅のうち、福島第一原子力発電所に関する避難指示区域との境界に最も近かったJR広野駅でも下車し撮影しました。

最初の撮影から十二年、現在も制作を続けています。震災の年に引き継いだカメラで撮った写真は、必然的に震災後の福島県を見える形で残す手段となりました。フィルムカメラであることも、手にしたタイミングも、福島県が身近な存在であることも偶然ですが、これらの要素が重なったからこそ撮れる写真があります。

福島県で撮影した写真を初めて展示したナダールで、今回もう一度観ていただく機会を頂きました。これまでの軌跡を作品とともに振り返ります。

 
本展は、2024年3月に開催した「めざせ個展」にてナダール賞を受賞した八木香保里さんによる受賞作品展です。

八木香保里 写真展「ここにある」
会期：2024年10月16日（水）～10月20日（日）
　　　11:00〜18:00（最終日は16:00まで）
会場：Nadar 東京/世田谷（g-nadar.net）
　　　東京都世田谷区世田谷1-41-2 スカイコート第3 108

 
詳細は、公式サイト掲載ページをご覧ください。