見るということ、ふだん何の意識もなしにしているとおり、見るということが、こんなに生ける者の権利の証明でもあり、残酷さの表示でもありうる。※三島由紀夫著「金閣寺」より

日常を過ごす日々の風景に溶け込んた道を挟み向かい合う駐車場は、誰かの家族が暮らす「うち」であり、あの夜に逃げ廻る最中、母に服を着せられ姉と先を急かせれ、そしてその母と最後の別れ場所になった近所の魚屋であった。長い年月の間、深いところに刻まれていた８月1日の記憶を持った当時７歳の少年は、跡形も無いその場を再び語る。その日の、その時代の出来事は蘇り、消えることなく、なかったことにもならない。
そして、その出来事を繰り返させまいと「戦争をしたら戦争した分、幸せにつながらなきゃ。せっかくとてつもない時間と金と人の命を使って得るものがなかったら無駄だよね。変な理屈だけど」と優しくその時間を、その記憶を分けてくれる。

姜美善「事実の選択」
会期：2024年10月29日（火）〜11月10日（日）
　　　12:00 – 19:00／月曜休廊
会場：TOTEM POLE PHOTO GALLERY（https://tppg.jp）
　　　東京都新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F　　　

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