森の山稜・丹沢の四季

森の山稜・丹沢の四季
宮本 宏明
2016/12/09 ~ 2016/12/14
OM SYSTEM GALLERY

冬のよく晴れた日には東京近郊から富士山を望むことができる。富士山の裾を隠すように手前に連なっているのが丹沢山塊だ。

最高峰の蛭ヶ岳が標高1673メートルと決して高くはないが、首都圏に近くアプローチが便利なため、山を始めた頃から現在に至るまでずっと通い続けている。当初は晴れた日の山頂からの展望が楽しみだったが、写真を撮るようになってからは自然の豊かさに気づき、森が丹沢の最大の魅力と感じるようになった。

3,000メートル級の大きな山に登りじっくり撮影するのも楽しく充実した時間だが、週末にふと思い立って向かった丹沢で、四季折々変化する森の表情に触れるのは、私にとって心癒されるひとときだ。

今回展示する作品は、25年間撮りためた写真の中から選んだものだ。この間に写真機材はフィルムからデジタルへと大きく変化した。山もまたブナが立ち枯れたり、鹿の食圧から植生を護るための柵が至る所に作られてしまい、もはや撮影できなくなってしまった場所もある。一方でまだ美しい自然が残っており、撮影に出かけるたびに新たな発見があるのはとても嬉しいことである。
身近な山の豊かな自然が輝く瞬間を感じていただければ幸いである。