流され、転がり、丸まり、繋がる。

流され、転がり、丸まり、繋がる。
高崎 勉
2019/06/26 ~ 2019/06/30
Exhibition Archives

 帰省した折、ずっと訪れたいと願っていた宮崎海岸でヒスイ探しをした。しかし実際に僕の興味を引いたのは緑色に鈍く光る宝石ではなく、まるで誰かが悪戯にチョークで線を引いたようなグレーの石ころたちだった。
 そして15km東、親不知海岸に場所を移すと、そこにはもう砂浜はなく、角の取れた石で埋め尽くされ、白やオレンジ色の線が入った石ころを見つけることができる。
 その昔、パンゲアという超大陸から日本列島は分離した。線がついた変成岩はその時の様子を示すものらしい。日本国内でそれが見つけられるのは富山県魚津市の片貝川~新潟県糸魚川市近辺に限定されるそうだ。
 もともと角ばった岩石は、川の上流から流され海に出て、日本海の荒波に揉まれて転がり角が丸くなる。石を人の成長と重ね合わせてしまった僕は、その線を繋いでみた。人間のように他者と輪を作ったり、くっついたり離したりしてみたが、線の片方はやがて地中へと、もう片方は宇宙へと、時を超え伸びてゆくような錯覚に陥る。
 石ころたちは僕のちっぽけな歴史をあざ笑うことさえせず、静かに佇む。そして僕は昨日と明日の狭間で相も変わらず転がり続けるのだ。

高崎 勉