過去数年間は、生きとし生けるものにとって、未曾有の試練の時代であった。新型コロナウイルスの大流行、異常気象の頻発、戦争の勃発といった、地球規模の危機が相次いで発生した。それらは、かつて経験したことのない厳しい状況をもたらし、私たちの生活を大きく変えた。

しかし、このような厳しい状況にもかかわらず、人間やその他の生物、さらにはその集合体としての自然界全体は、困難に耐えながら、自分なりの生き方やスタイルで生き抜いてきた。

写真を撮るという行為は、刹那の光景を永遠にするものである。シャッターを切った瞬間、目の前に広がる風景は、すぐさま「過去」のものとなる。寂しさや未練といったさまざまな感情は、最終的には過ぎ去りし時間に対するため息へと変わっていく。

私は、この数年間を生き抜いた人間、生き物、そして自然の情景を「遠い呼吸」として、深く記憶に刻み込みたい。それは、この数年間を私が生きた証しでもある。

若山美音子 写真展「遠い呼吸Ⅱ」
会期：2024年4月16日（火）～5月2日（木）
　　　10:30～18:30／日・月・祝休館
会場：キヤノンギャラリー銀座
　　　東京都中央区銀座3-9-7