宅島正ニ 写真展 1974軍艦島 閉山から50年『緑なき島を去る人々 その時・・・』

宅島正ニ 写真展 1974軍艦島 閉山から50年『緑なき島を去る人々 その時・・・』
宅島 正二
2024/04/16 ~ 2024/04/28
Jam Photo Gallery

1974年1月をもって軍艦島の炭鉱が閉山となることを耳にしたのは、1973年の秋であった。
端島というのが正確な名である。戦艦土佐にシルエットが似ていることで軍艦島と呼ばれるようになった。
幅160m、長さ480m。東京ドームおよそ5個分という小さな島は、炭鉱により日本の近代工業の発展を支えてきた。
最盛期には5,200人もの人々が住み、人口密度は東京の9倍に達し世界一と言われ、
日本初鉄筋コンクリートの高層集合住宅、学校、映画館、レストラン、病院など最先端の機能を持つ炭鉱都市として栄えた。

当時、私は25歳で東京写真専門学院に入学し、2年後の27歳のとき我が故郷の代表的な炭鉱を卒業制作のテーマとして選んだ。
1974年3月に島を訪れ撮影を開始した。無人島になる1ヶ月前のことだった。

閉山に向けて、島中が慌しかった。
子供たちが無邪気に走り回る中、人々は移転、転職にと忙しく、年配者たちも終始移動の準備に追われていた。
連絡船が岸壁に着くたびに人々は島を去っていく。果たして、彼らはどのような心境だったのだろうか。
私は、この島を去る人々とその風景をただ黙々と記録し続けた。

きっかけは卒業制作のためだったが、私にとって生涯で一番の思い入れのある撮影となったのは間違いない。
暗室にこもり完成したプリントに加え、密かに手作りした小さな写真集は私の宝物だ。

2024年、軍艦島閉山から50年を迎えます。
今展では学生時代の私が自らプリントしたヴィンテージプリントと
私の机の引き出しに50年間そっと仕舞っていた大切な写真集からセレクトで構成するため、
2014年4月に開催したJCIIでの展示とはひと味違う趣きになっていると思います。
若き日の私が見た、軍艦島、最後の姿をたくさんの方にご高覧いただき、当時の軍艦島の姿を後世に伝えられたら嬉しく思います。

 


 

▼写真展概要
宅島正ニ 写真展 1974軍艦島 閉山から50年『緑なき島を去る人々 その時・・・』
会期:2024年4月16日(火)~2024年4月28日(日)
   12:00-18:00(日曜17:00迄)
会場:Jam Photo Gallery(www.jamphotogallery.com
   〒153-0063 東京都目黒区目黒2-8-7鈴木ビル2階B号室