ヘイミッシュ・キャンベル「青ヶ島—ふたごのカルデラでの人生」

ヘイミッシュ・キャンベル「青ヶ島—ふたごのカルデラでの人生」
ヘイミッシュ・キャンベル
2018/08/06 ~ 2018/08/12
Place M

私はいつも孤立というテーマを扱っていて、それが物理的に、文化的に、社会的にどう見えるか作品を通して表現しています。
孤立している所に行くと、自分の存在を外から再発見できて、懐かしさと心地よさを強く感じます。忙しい現代の生活の中で私たちはしばしば不安の殻をつくってしまいますが、孤立した所ではその殻の外へ出ることができます。
青ヶ島は東京の南約400km沖にある火山の島です。二つのカルデラは、入れ子構造になっていて外側のカルデラの外に150人ぐらいが暮らしています。波が荒く、崖が急で、風が強いので島に行くのは大変です。天気が特に悪ければ、島の生活は何週間か本土から切り離されます。
青ヶ島は完全に孤立していると思っていたので、私は興味が湧きました。物理的な孤立は否定できないし、伝統文化はとても独特ですが、実際は島民が社会的に孤立していないと分かって驚きました。
島にいる人たちは青ヶ島で生まれようが、後から移り住んでいようが、一時的に暮らしていようが、厳しい自然環境にも関わらずみんなタフで自立しながら助け合っています。
このプロジェクトを始めた時は島の独特な地理的条件が生み出す神秘的で厳かな空気感に興味があるだけでした。島民の精神力と霊的な感覚はその条件に因るところが大きいと思いました。
今、私は「彼らは特別な場所に住んでいるからではなく、どこに住んでいたとしても、すごい人たちなのだ」と気が付きました。ポートレートとインタビューを通してそれを感じて頂けると嬉しいです。