ダーク・ランブレヒツ「I am this」インタビュー

2019年10月25日

Dirk Lambrechts Photo Exhibition “I am this”が京都写真美術館ギャラリー・ジャパネスク2F「花」で10月22日(火・祝)〜11月10日(日)まで行われていますので、そのレポートをお届けします。

今回の展示作家、ダーク・ランブレヒツさんは至高の美を追求するベルギーの写真家です。今回の展示は、フランドル地方の雲の様子を捉えた「Flemish Light」、光の当たり具合によってみられる黒と白の対比を捉えた「MIX」、 ヒトの思いがけない一部を捉えた「Skin」の三部構成になっております。
全ての展示作品は、アワガミファクトリーの徳島の紙漉き場と工房で、AIJP(アワガミインクジェットペーパー)びざん-純白 手漉き紙にプリントされております。

Q.展示タイトル「I am this」について
今回の展示で目にするこれらの写真は、私のイメージの一部を具現化したものです。これらの作品は、私が美しいと思ったものであり、これらが自分の世界観を表していると考えました。

Q.日本で初めての展示となるがその心意気について

日本での初の展示に際して、遠く離れた土地で生きる人々の新鮮な反応が楽しみでした。また、私はいつもシンプルなものの中に見出される美しさに惹かれます。日本のアートの根底には「侘び寂び」のような簡潔さを求めているところがあります。私の心がけている言葉で、「Less is more」という言葉があります。まさしく日本の禅庭のようで奥ゆかしいですよね。今回の展示で、日本の文化と自らの作品が融合できることを楽しみにしています。

Q.展示の一つのテーマ「diversity(多様性)」について

自分が何者であるか、どこ出身なのか、どんな肌の色を持っているか、どんな宗教を信じているのか。何人たりとも同じ人がいなくて、様々な特徴を持っていることが世界の美しさなのだと私は考えます。多様性、つまり、違うことが豊かさにつながるのです。今、私は日本の文化を学習しているのですが、たくさんのアイデアを吸収しています。異文化理解が自分のさらなる可能性につながることを知っています。
アートは普遍的なものです。ベルギー、日本、国を問わず芸術は万人が理解できるものだと思います。

Q.鑑賞者に対するメッセージについて

それぞれの展示についての思いを伝えます。

「Flemish Light」:歴史的芸術作品のオマージュ。明暗法を現代の芸術写真によって表現した。空の美しさというものは古今東西、普遍的なものである。昔も今も未来もこのような自然の美しさが存在するだろう。そのような思いを込めました。

「MIX」:ポートレートについて、各人をよくよく見ると、顔の造り、光の反射具合が多様性を生み出しています。また、撮影する際、ズームを使わずに接近することで五感を働かせて、その人を総合的に理解しようと心がけています。

「Skin」:ヒトの肌の美しさ、体つき、形状。
見たことのないような細部に想像力を働かせてほしい。

Q.Awagami Factory「AIJP」の印象について

徳島の工房でアワガミ制作現場に立ち会うことができたのは素晴らしい経験になりました。和紙製造のクラフトマンシップ、伝統技術を目の当たりにしていい刺激をもらいました。アワガミにプリントされた自分の作品を見たときは、想像以上に素晴らしい出来栄えで、嬉しく思いました。これまでのインクジェットペーパーでは成し得ない世界観を作り出すことができて大変感謝しています。

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Q.今後の作家活動の展望について

新しい国、人々と出会い、その事柄の詳細を解き明かしたいと思います。世界中の人々が私にアイデアをもたらしてくれると考えています。次の展示はモロッコ・マラケシュで行うのですが、モロッコの地でもこのようないい機会に出会えることを楽しみにしています。
新たな人と出会うこと、異文化に身を置くこと、歴史を勉強すること。これらが自分の軸となっていますし、今後もこのスタイルを続けていきたいと思います。

Dirk Lambrechts Photo Exhibition “I am this”
会期: 2019/10/22 ~ 2019/11/10
会場:2F「花」
時間:11:00~18:30
※無休、入場無料
展示情報:https://kyoto-muse.jp/exhibition/91435
ダーク・ランブレヒツwebページ
協力:アワガミファクトリー