山口晴久「Image of OIRAN」 インタビュー

2019年12月13日

山口晴久 写真展「Image of OIRAN」が京都写真美術館ギャラリー・ジャパネスク1F「月」で12月10日(火)~12月25日(水) まで行われているのでレポートをお届けします。

会期中は土日の昼以降に在廊予定の山口さん

Q.「花魁」をテーマにしたきっかけについて

もう十数年前になりますが、仕事で成人式の撮影をしていた時に着物の柄が凄く綺麗で着物を撮りたいと思ったんです。そこで着物の最高峰について調べていくうちに江戸時代の花魁が当時のファッションリーダーのような存在であることが分かりました。着物だったり髪型だったり庶民がそれを全部真似したんです。そんなことが分かってくると、着物の最高峰はやはり花魁であると思い、自分の思い描く花魁を再現したいと思ったことがきっかけです。

Q.作品へのこだわりについて

「モデル」
私の中で花魁というのは、「目力」や「強さ」があり心に刃があるようなイメージです。「凛として」という言葉があるように、スッと立ってNoと言える立場の女性なんです。そのような表情、オーラが出せるモデルを撮影しました。

「ライティング」
モデルにライトを正面から当てずにぼやけた光を使いロウソクに照らされているかのように表現しました。花魁は夜の世界の人間で、昔はロウソクの光に照らされてお座敷にいたからです。

フレスコグラフィックスペーパー白化粧
ライティングの加減や花魁の白塗りもあり、撮影時に白飛びをしやすいのですが、この紙は漆喰になっているので肌の表現が飛ばしても画になるんです。
塗り壁メーカーである(株)北辰に開発してもらったインクジェットペーパーで自分の作品を仕上げるためには不可欠でした。

Q.パリやNYでも写真展を開催されていますが、海外ならではの展示の難しさはありましたか。

海外の方の中には、花魁をただの売春婦だろうと言ってくる方もいます。確かに花魁にはそういう側面もありましたが、花魁になる人というのは、三味線や和歌、芸事など全てがプロ以上の実力があり苦労して修行を積んだ人たちです。その花魁になるまでに亡くなった人は何万といます。そういう暗い事実はあるけども、だからこそ花魁は本当に血の滲むような努力をして成り上がったサクセスストーリーの体現者という風に捉えてほしいと思います。かなりの格差があった時代でありながら、花魁という成り上がった女性がいるということを知ってほしいのです。
文化背景などで考え方に違いはあれど、私がどう考え何をしようとしているか分かってもらえばいいと思っています。

Q.今後の活動について

65歳を過ぎて70歳までにニューヨークの大学で講義をするということ。もう一つがパリに住んで個展を開くことです。これは一番の夢です。3ヶ月スパンでパリに住んで写真を撮って、それを日本で発表して、今度は日本で撮った写真をまたパリに帰って発表してというような。
70歳を過ぎたら1年間を3つに分けて、4ヶ月は日本で、4ヶ月は海外で写真の仕事をし、残りの4ヶ月で世界をぶらぶらする。これが夢です。

【山口晴久 プロフィール】
大阪成蹊大学芸術学部、日本写真映像専門学校において講師

【主な個展】
キヤノンギャラリー銀座   「SUBWAY ATMOSPHERE」、
NEW YORKにて 「EXIOTIC JAPAN」  (Michi Gallery),
        「OIRAN」       (Salomon Arts Gallery)を開催。
大阪 PIAS GALLERY にて2008〜2018 20回の個展開催
上海アートフェアー、ソウルフォトに出展
「SUBWAY ATMOSPHERE」で林忠彦賞にノミネートされる。
2019/9 にキヤノンギャラリー銀座にて 「都市彷徨」 開催

【審査員等】
2015 〜2019 国内最大の参加型写真イベント「関西御苗場」レビュアー 
2015〜2017 御苗場「夢の先プロジェクト」 講師を務める。

山口晴久 「Image of OIRAN」
会期:2019/12/10(火)〜2019/12/25(水)
会場:1F「月」
時間:11:00~18:30(最終日17:00まで)
※無休、入場無料