中川 仁史 写真展「朝倉 Asakura」

レポート / 2018年7月12日

~静けさの中から強く訴えてくる~

中川さんと展示作品

こちらのギャラリーは、春には江戸川橋駅から早稲田方面に続く桜並木で有名な江戸川公園にほど近い、4階建てのビルの1階にある、自然光も入る新しいギャラリーです。

2017年7月5日に発生した九州北部豪雨。この被災地である福岡県朝倉市と筑後川を挟んで隣接するうきは市出身の中川さんは、落ち着かない気持ちでこのニュースを見られ、6日後の11日にとにかく現地に向かわれたそう。「無我夢中で撮影し作品を見つめ、また行かなくちゃを繰り返しているうち、これは残していかなくては」という思いを抱かれたそう。
中川さん自身にとって大きい出来事だったこの災害から1年が経ち、自分の中で一度区切りをつけたいという思いが、今回の写真展開催のきっかけとお聞きしました。

ギャラリー壁面を飾るパノラマ写真は、まるで自分がその場にいて途方に暮れそうな錯覚さえ覚える、圧倒的な迫力で迫ってきます。

市街地は概ね復旧されたそうですが、山間部には手つかずのまま大きな爪痕が残っているとのこと。決して元通りには戻せない、取り戻せないもの、それらにどう折り合いをつけていくか、そして将来的にはこの作品たちを地元に残る形で残していきたいという強い思いを、中川さんは語ってくださいました。

地元の方が話された「(この災害の)記憶は私たちがしている」「記録してほしい」というエピソードが、とても心に響きました。私たちは「自分が災害に遭うことはないだろう」と考えがちです。一見静けささえ感じる作品から訴えてくるものは、深く考えさせられる写真展でした。ぜひ会場へ足をお運びください。

【中川 仁史 写真展「朝倉 Asakura」】
会期:2018年7月5日(木)〜7月16日(月)
平日 12:00~18:00/土・日 12:00~19:00(最終日18:00まで)
会場:Gallry Cue・brick
http://cuebrick.jp/?event=%E4%B8%AD%E5%B7%9D%E4%BB%81%E5%8F%B2%E5%86%99%E7%9C%9F%E5%B1%95%E3%80%80%E3%80%8C%E6%9C%9D%E5%80%89%E3%80%80asakura%E3%80%8D&fbclid=IwAR0DYONNxTKJ0DEJ-FbbbVMbD2E94S7ksg_csLjs_swUhMNnOgphoYsJVyI