ジェイムス・オザワ 写真展「The Dreamer —message from a human being—」

レポート / 2017年9月7日

自分らしく生き、お互いの個性を認め合う人々が生み出すエネルギー!

顔をカラフルな模様に着色した女性の写真に惹かれて会場に入ると、そこには自分らしく生きる人々を写した63点のポートレートが並びます。サルスベリの花の前でポーズを決める男性、川の中に座り込み石を手に取る女の子、愛を語らう男女など。撮影地はオーストラリアの山奥にある村。現代社会に融け込めない人たちが救いを求めて集まる桃源郷のような場所だと、写真家のジェイムス・オザワさんは教えてくれました。

少し照れながら、写真に写る男性と同じポーズをしてくれました

「個性が強すぎると一般社会では『変人』と言われてしまう。自由とは『孤独』なんです。強い精神力とエネルギーが必要になる。この場所には社会からはみ出した変人たちが自分らしく生きています。それを可能にしているのは、皆がお互いの個性を認め合おうと努力しているからなんですね」

どの人の瞳にも、周りとの違いを楽しみ、自分らしい生き方を全力で貫こうとする強い意志が宿っています。一方で、不安定な表情をした女の子のポートレートも。都会では浮いてしまうかもしれない不安定な子も、この場所ではありのままでいることができるのだといいます。

「はみ出すことを許さない独特の地場がある東京という都市で、極端に違う世界の人を見せたいと思いました。大多数が日々同じことを繰り返し、『これでいいのか
』というモヤモヤをもっている。この写真展が一つの選択肢として後押しになればいいなと思います」

長髪にヒゲという一見恐そうなオザワさん。その姿は、閉塞的な現代社会で個性の出し方がわからず悩む人々へのメッセージが込められています。
オザワさんは、オーストラリア生まれ、日本育ちの写真家です。お金を稼ぐためだけに写真技術を使っていて良いのかと自問自答を繰り返し、29歳を機に全てを捨てて撮影地へ。現地で暮らすうちにコミュニティがもつ不思議な感覚を共有するまでになり、一人ひとりが自由に自分のあるべき姿を表現する様をシャッターと共に焼き付けていったそうです。同様の場所が世界中にあり、次の撮影地としてラオスやスペインの村が気になっているのだとか。

会場にはポジフィルムのスライドプロジェクション作品も展示されています。
同じ世界にある個性のるつぼで暮らす人々の姿が気になる方、オザワさんの話が聞きたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

【ジェイムス・オザワ 写真展「The Dreamer —message from a human being—」】
会期:2017年8月28日(月)~9月15日(金)
10:00~18:00(土曜17:00まで)
会場:ギャラリーNP原宿(日祝休館)
http://www.nationalphoto.co.jp/gallery/ex_170828_j.htm

ジェイムス・オザワWebサイト
http://www.jamesozawa.com/