田川 梨絵 写真展「ガラクタとホウセキ」

レポート / 2017年7月15日

人間の内面を捉え、新たな表現に挑戦している女性写真家!

暗い空間の中で、スポットライトを浴びて大切にディスプレイされている20点の作品は、まるでキラキラ輝く大小のホウセキのよう。近づいてよく見ると、立体感のあるアクリル板の中に、非日常な世界が広がっているのが分かります。

関西人らしいチャキチャキ明るい人柄の田川梨絵さん。写真家としての表現欲を支えるのは、幼いころに経験した身近な人の「死」だと言います。自分の中に渦巻く処理しきれない負の感情や、言葉にできない想いを吐き出す場として写真表現を選び、自身の心象風景を投影した一人の少女を撮り続け、発表してきました。

3年前からは自分の域を広げようと、多重露出機能を使った表現に挑戦。今回の展示はその挑戦に、さらに展示手法でも新たな挑戦を試みたもの。
会場内には大小の作品が無秩序に配置されていて、一つずつ見ていくと、砂浜に落ちているタカラモノを拾いながら遊んだ子ども時代にタイムスリップしたような錯覚を受けます。

「他人にとってはガラクタかもしれないけれど、自分にとっては大切なタカラモノ。それらが自分の周りに浮かんでいる世界を表現しました。写真を使った表現の幅はどんどん広がっています。額装して壁に展示するだけでなく、こういう新しい表現に挑戦することで、写真の持つ無限の可能性を感じていただければと思います」。

従来の写真展の枠にとらわれない独特の世界観は、訪れた人たちから感嘆の声があがるほど。ちなみにオリンパスギャラリー東京では初めての試みなのだとか。

また、多重露出機能で作られた作品はとてもシュール。ロッカーの中に広がる世界、地下へ降りる階段の先にトラ、東京スカイツリーをつかみ取ろうとする大きな手…など数枚の画像を重ねることで、日常の中に非現実が映り込んでいます。

「どうすれば違和感が出るかを考えながら制作しました。撮影前から世界観をイメージすることもあれば、撮影の場で思いついたものもあります。テーマは、ちょっと恐いなと感じるような、あり得ない世界。でも、刺激がありますよね!」。

これからも自分の内面を表現した作品づくりに意欲的な田川さん。引き続き多重露出の撮影を続けながら、自身のライフワークである少女の撮影と、都市の死生観を捉える撮影も突き詰めていきたいと夢を話してくれました。

展示期間中は毎日在廊されているとのことです。
暗い空間の中で田川さんの作品を見ながら、自分にとっての大切なタカラモノに向き合いたくなった方は、ぜひ会場へ足を運んでください。

【田川 梨絵 写真展「ガラクタとホウセキ」】
会期:2017年7月14日(金)~7月19日(水)11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会場:オリンパスギャラリー東京(木曜休館)
https://fotopus.com/event_camp…/showroomgallery/detail/c/545
※オリンパスギャラリー大阪でも開催予定(7月28日〜8月9日)

田川梨絵 オフィシャルWebサイト
http://tagawa-rie.com/