平木 康之 写真展「ソトボ」

レポート / 2017年8月5日

外房(ソトボ)で見つけた違和感を一つひとつ拾い集めた不思議な世界!

外房とは千葉県のある房総半島の太平洋に面したエリア。東京湾に面する内房と比べて人の手があまり入っていないため独特の地形を形成しています。偶然、人里離れたところに大潮の時だけ現れるビーチがあることを知った平木康之さんは、どんなところか興味を持って訪れたのだそう。本格的に写真を始め、自分の撮りたいテーマを探っていた時期でもあったと言います。

「11月頃に初めて撮影に行ったところ、『キャスト・アウェイ』や『ロビンソン・クルーソー』の世界に出てくる無人島のような世界がありました。遠くまで続く岸壁と海に囲まれたビーチに立つと、波の音だけが聞こえる。その不思議な世界に引き込まれ、何度も撮影に通いました」。

日本なのに日本じゃないような、でも外房であることは紛れもなくて…その不思議な感覚を表すために、平木さんは「ソトボ」と縮めて片仮名で表記したそうです。
会場には平木さんが外房(一部茨城も含む)で見つけた違和感の欠片が展示されています。

平木さんが作品づくりで大切にしているのは自分の好きなもの、自分が違和感を覚えたものを撮ること。かつてはフォトジェニックな写真を撮ってSNSで公開していました。一方で自分らしさの出た作品に対する反応は少なかったと言います。写真はもっと深いものじゃないかというジレンマにどうしていいか分からなくなってきた頃、半信半疑で写真ワークショップ夜の写真学校に参加。講師で写真家の瀬戸正人氏や大野伸彦氏に、違うタイプの写真について質問したところ返ってきた「良い写真は分かる」という言葉が腹に落ちたのだと言います。それ以来、自分が撮りたいテーマを模索してきました。

「これまで何かしっくりいかない違和感を、感性のおもむくまま一つずつ作品として集めてきました。それを見返すと自分の知らなかった自分に気づきます。写真展では、僕と近い感性の方や、新しい解釈で見てくれる方など、様々な方と話せるのがとても楽しい。毎日在廊しているので気軽に話しかけてください」。

自分の中にある違和感を「ソトボ」というもう一つの世界として表現した平木さんの写真展が気になる方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

【平木 康之 写真展「ソトボ」】
会期:2017年7月28日(金)~8月10日(木)
10:30~18:00(最終日は14:00まで)
会場:エプソンイメージングギャラリー エプサイト(日曜休館)