滝原 逸郎 写真展「絵画主義 筑波山」

レポート / 2017年9月23日

筑波山の見せる多彩な表情を絵画風に写した作品!

会場に入ると驚くのが、絵画のように映る紫峰「筑波山」が悠々とそびえ立つ姿。カラー作品50点、モノクロ作品6点の計56点が圧倒的な世界観を構築しています。滝原 逸郎 (Etsuro Takihara)さんが新しいテーマとして筑波山を撮り始めたのは2006年。11年の集大成となる今回の写真展では、これまで撮りためた大量の筑波山の作品の中から、幻想的で絵画のような姿を映した作品を厳選したと言います。

「昔から絵画が好きで、絵を褒められたり、美術の本を眺めて過ごしていました。筑波山は日本画の歌川広重や横山大観も描いていることから、頭の中に絵画のイメージがインプットされているのかもしれません。他に写実主義の西洋画をイメージしています」

大観の描く筑波山に近づけたという月光に浮かぶ筑波山、広重ブルーを表現した鮮やかな藍色の川面と筑波山、朝靄の霞ヶ浦越しに裾野を広げてそびえる筑波山、真っ赤な夕日と影絵のような陸地のコントラストが鮮やかな筑波山など、一つの山が見せる表情の幻想的かつ多彩な様に引き込まれます。
筑波山に魅せられ、さまざまな表情を収めるために、滝原さんは筑波山近くにスタジオを設け、そこを拠点に撮影しているのだそう。イメージしている絵画の世界観に近づけるため、撮影時間から天候までを徹底して調整。天気図を見て雲や風の動き、気温、ガスや霧の発生状況などを読み、移動しながら撮影しているのだと教えてくれました。

「休日のたびに朝は西回り、夕方は東回りに、筑波山の周りを太陽を背に移動しながら撮影して回っています。幻想的な雰囲気を出すためには逆光が重要なんですね。今回の展示が集大成とはいえ、まだまだ全ての表情を撮りきれていない。ライフワークとしてこれからも撮り続けたいです。絵を見に行くつもりで気軽に来てください。皆さんのもつ何らかの絵画作品のイメージと重なるところがあればうれしいです」

写真技術を用いて絵画のような世界観を表現した滝原さんの「筑波山」に興味を持たれた方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

【滝原 逸郎 写真展「絵画主義 筑波山」】
会期:2017年9月21日(木)~9月27日(水)
10:00~18:00(最終日は15:00まで)
会場:アイデムフォトギャラリー「シリウス」(日曜・祝日休館)