花木 テンミ 写真展「hophlanny sonar」ABSTRACT FACE

レポート / 2017年11月10日

観る人の感覚をかき立てる強烈な世界観!

「GALLERY Jy」は、20年近く写真や絵画、造形などさまざまなアート作品の展示会をしてきた老舗のギャラリーです。展示スペースは小さめながら温かみのある雰囲気で、作品の世界に没入できるのが魅力です。
現在行われているのは、フィルムカメラの多重露光で人物の頭部をとらえた花木テンミさんの写真展。約50センチ四方のモノクロ作品には、さまざまな感情やエネルギーが混在していて、観た人の感覚を呑み込むような凄味を感じます。

「自分の頭の中にある感覚に一致するものを探し、いろんな手法で表現しようとしてきました。『hophlanny sonar』とは、作品に対する音を表わした造語です。例えば視覚や触覚などが独立しているのではなく、さまざまな感覚が混ざり合った一つ上の段階というのでしょうか。それが私のつくりたい場所だと考えています。被写体は何でもいい気がする」

静と動が混ざり、不思議なエネルギーを感じます。

この作品が、今もっともイメージに近い世界。作品に合わせて自作したフレームは、黒と赤のペンキを混ぜて表現されています。

幼い頃から、自身の中にある感覚やイメージを表現したいという強い思いを持っていた花木さん。ドローイングやインスタレーションなど、さまざまな表現を模索する中で、写真表現の可能性を確信し本格的に写真を始めそう。
「みえるところ みえないところ ともに見える世界」という一つのコンセプトを軸に、自分の感覚を擦り合わせながら作品をつくり、人物のシリーズ「ABSTRACT FACE」と、花のシリーズを発表してきました。

「もっと良いものをつくりたいという理想が、私の原動力です。悩みや葛藤もありますが、表現することがとても楽しい。創作していないと具合が悪くなるくらい(笑)。どうするのが正解だという答えはありませんが、これからも作家として、自分のイメージするものを表現していきたいです」

展示されているのはわずか6点ですが、視覚を超えて何か大きなエネルギーが押し寄せてくるのを感じ、コンセプトとは「作家の生き様」だと改めて気付かせてくれる、力強い作品です。
花木さんの作品を通して、目に見えるものと、自分の中にある見えないエネルギーについて思惟してみたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

【花木 テンミ 写真展「hophlanny sonar」ABSTRACT FACE】
会期:2017年10月31日(火)~11月19日(日)
11:30~18:00(最終日は17:00まで)
会場:GALLERY Jy(月曜日休廊)