稲継 泰介 写真展「TokyoTimeScape」

レポート / 2017年12月21日

重ね合った光の軌跡に時間の流れを感じる作品!

きっかけは東京の街中で見える星空を撮りたいと思ったこと。フォトグラファーの稲継泰介さんは、地球から何百光年も離れた星を撮影するには瞬間では撮影できないことから、時間を意識するようになったと言います。技術の発展で容易になったタイムラプス撮影技術を用いて、都市の中に流れる時間を表現しようと10年以上かけて試行錯誤を繰り返してきました。

会場の様子。

展示はプリント作品24点と4Kモニターを使ったタイムラプス動画からなります。1〜2時間かけて撮影された、都市を構成する建造物や電車、飛行機、人などを照らす光の軌跡が幾重にも重なる様は、見たことがない世界。特に面白いのが、柳や竹など都会の中にある木々を、赤外線で撮影した作品です。白銀となった木々の揺らめきが不規則にきらめく世界は幻想的。まるで印象派の絵画作品のようだと、稲継さんは感じたそう。

「タイムラプス撮影をしていくうちに、印象派の絵画作品に似ていると思うようになりました。僕の解釈ですが、印象派の画家モネの作品を見ると、時間の経過や光の移り変わり、色の変化などを重ねて描いているように見えます。それが作品世界の広がりや奥行きとなっている。絵と写真という異なる手法ではありますが、時間や光を捉えようとしている点では同じじゃないかなと思います」。

タイムラプス動画と、写真を4Kモニターに投影した作品。
これだけの質と量を一挙に見れる機会はそうありません。

今回の初個展にあわせて作品をまとめ上げることで自分自身が「時間とは何か」を考える機会になったと同時に、観にきた方も「時間とは何か」を考えるきっかけになれば嬉しいと話す稲継さん。
展示期間は残りわずかですが、ぜひ会場へ足を運び、作品と接することで「時間とは何か」を考えてみてはいかがでしょう。

上の作品が赤外線で露出撮影したもの。柳の枝の揺れが白銀にきらめき、不思議な筆致を描きます。「カラーにすると緑が強くなりすぎるんです。表現したいのは『時間の経過』なので、あえてモノクロにして緑を消しました」と説明する稲継さん。

【稲継泰介 写真展「TokyoTimeScape」】
会期:2017年12月13日(水)〜12月22日(金)
10:00~18:30
会場:EIZOガレリア銀座
http://www.eizo.co.jp/galleria/ginza/event/