三浦 俊裕 写真展「叙情時 ~ Lyrical Time」~ 音調のある風景

レポート / 2018年8月24日

写真だからこそ表現できること

黎明の時は、暗い夜から日が昇って朝へと変わる夜明けの時間を指す。夕方から夜にかけても同様の光景を見ることができるこの時間帯では、昼と夜が切り替わるタイミングで静寂の中に「音調のある世界」が姿を現わす。
この時間は、1日の内でごく僅かな間でしか見ることのできないものだが、三浦さんは十数年に渡り、全国各地で撮影を続けている。

写真展のタイトルとなっている「叙情時」という言葉。
叙情とは、感情を述べ表す事を意味する。詩の種類として叙情詩というものがあるが、これは自己の感情や想いを主観的に表現する作風であるため叙情詩と名付けられている。
対して、三浦さんは「言葉ではなく、時間で感情を表現したい」という考えから「叙情時」とタイトルを決め、本展を開催した。

「叙情時」という名の通り、三浦さんの作品からは撮影当時の感覚や空気が伝わってくる。視覚のみで作品を観ているにも関わらず、五感を刺激されるような感覚。この感覚によって作品を表現することは、三浦さんが撮影する際の大きなテーマとなっている。

「音調のある世界」は、心の落ち着きとともに、静寂という言葉の似合う寂しさを感じた。この感情は、言葉で明確に伝えるには難しいものである。しかし、三浦さんの時間によって表現された「叙情時」では、言葉では伝えがたい部分をも物語っている。

【三浦 俊裕 写真展「叙情時 ~ Lyrical Time」~ 音調のある風景】
会期:2018年8月22日(水)~9月3日(月)
時間:10:30~18:30(最終日は16時まで)
会場:リコーイメージングスクエア大阪
URL:http://www.ricoh-imaging.co.jp/…/squa…/2018/08/20180822.html