西村 陽一郎・儀保克幸「10月の少女達」

レポート / 2018年10月23日

反対側の世界に像を成すモノクロフォトグラムの美

レトロな佇まいが特徴的な奥野ビルは、銀座の高級アパートメントとして80年以上に前に建てられたビルです。現在は「アートビル」として小さな画廊やギャラリー、アトリエが入居し賑わっています。その奥野ビル5階に入居するギャラリーナユタは、さまざまなアート作品を展示している企画ギャラリーです。
今回の展示は「10月の少女達」をテーマに、写真家の西村陽一郎さんと彫刻家の儀保克幸さんの二人の作品が並びます。西村さんが在廊されていたのでお話を伺いました。

会場にて西村さん。生き物が好きで、作品をつくる際は自宅の裏山から植物や昆虫などを採取してくるのだそうです。「心がけているのは構図を作り込みすぎないこと。即興的に上から落とすように葉や蔓を置くのですが、一度置いたものは動かすなど修正しないようにしています。そうすると、作品の上の少女が動き出すような感覚になる。その度に感動します」

写真家であり美学校で講師も勤める西村さんは、これまでフォトグラムやスキャングラムといった写真技法で、植物や昆虫などをモチーフにした作品を数多く発表しています。
展示されているのは「森の中」シリーズとして2013年に製作された5点に、今回の展示に合わせて「秋」をテーマに製作された新作3点の計8点。きのこやカタバミが生える森の中を散策したり、ヤブキリを見つけたり、軽やかに動き回る少女の姿が、フォトグラムにより表現されています。

横長の作品3点が西村さんの新作。ストーリー性のある作品群です。写真左下にあるのは、彫刻家・儀保克幸さんの作品。森の草木の中に立つ少女の表情が素敵です。ギャラリー内には他にも小さな彫刻作品が展示されています。

「僕の作品は、フォトグラムという原初的な写真技法を使っています。写真学校で初めての暗室の授業がフォトグラムで、その時のゾクゾクする感動が忘れられず、30年以上フォトグラムなどの暗室作業による作品づくりをしています。白黒が反転した世界だからこそ、モノの形が浮き彫りになる。そうすると、これまで当たり前に見ていたものが新鮮に見え、世界の広がりを感じます」

そのモノを見るのではなく、形として認識すると同時に見る側の想像力をかき立てるのだそう。その言葉どおり、ネガのように反転したモノクロ世界のコントラストや独特の立体感により、アニメーションのように少女が動き出しそうな錯覚を抱き、見ているだけで軽やかな気持ちになれる作品です。

これからも暗室作業を中心としたフォトグラムでの作品づくりを続けていきたいと話す西村さん。今後の在廊日は10月27日(土)、28日(日)の12時30分〜15時とのこと。気になる方はぜひ会場へ足をお運びください。同時展示されている儀保克幸さんは今油の乗っている彫刻家です。ぜひ彫刻作品もお楽しみください。

【西村 陽一郎・儀保克幸「10月の少女達」】
会期:2018年10月15(月)~10月28日(日)
12:00~19:00(最終日は17:00まで)
会場:ギャラリーナユタ
https://www.gallerynayuta.com/

西村さんは東京・上野にある「みんなのギャラリー」で個展も開催中なので、併せてぜひ足をお運びください。フォトグラム作品とは対照的な、パリの日常を写したモノクロのスナップ写真です。
【西村陽一郎 個展「Paris」】
会期:2018年10月11日(木)〜10月28日(日)
13:00〜19:00(月・火・水は休廊)
会場:みんなのギャラリー
https://www.minnanogallery.com/exhibition

西村さんのWebサイト
https://www.yoichironishimura.com/