松本 健二 写真展「雪幻 瞬感」

レポート / 2018年11月8日

極寒の雪原が浮かべる一瞬の表情

DMにも使われている作品の前で、松本さん。タイトルの「雪幻」は雪原とかけているそうです。「雪幻」のほかに、雪と空を映した「雪景」など、雪をテーマにした作品づくりをしています。また、会場では雪以外を映した作品のポートフォリオも見ることができます。

個展や雑誌などで活動している写真家の松本健二さんは、25年以上、雪をテーマに作品を撮り続けています。当初は風景写真を撮っていましたが、次第に構図から道を消し、山を消し、林を消し…と引き算していくうちに、雪の形に特化した現在の作風に行き着いたと言います。

会場に並ぶのは、極寒の雪原が一瞬見せる表情をフィルムとデジタルカメラで撮影した作品24点。抽象画のようにも見えるシンプルで静謐とした世界が広がっています。光と風によって創り出された曲線と陰影、青を基調とした色彩のグラデーションは優美で、フィルターや画像処理、トリミングを一切していません。

「写真は自然にあるものしか撮れません。僕は雪原の一瞬をとらえているだけ。天候によってさまざまな表情が現れます。雲の厚さで光が変わりますし、朝夕で表情も違います。今そこで見ていた雪も、10分もすれば異なる形へ変化している。常に変化している雪は無限の表情を持っていて、だからこそ25年も飽きることなく撮り続けられるのだと思います」

自然が創り出した雪の豊かな表情を見て驚いてくれると嬉しい、と松本さん。見る人が自由に想像できる作品づくり、飾っていて飽きない作品づくりをしていきたいと思いを語ってくれました。
展示期間中は毎日在廊しているとのことです。銀ぶらを兼ねてギャラリーへ足を運び、アートを楽しんでみてはいかがでしょう。

大小のさまざまなサイズで展示されています。撮影は北海道を中心に、福島など行き深い地域へ行くそうです。「撮影しているのは、雪山ではなく、少し人里離れた旅館の裏や、道の駅のある一角など。意外と身近なところで、いろいろな雪の表情を見ることができるのが面白い」と、松本さん。

光や時間によって無限の表情を見せる雪。荒天の後の方が面白い形が見つかるそう。「究極は、雪に見えなくてもいい。見る人が想像できるもの、飾っていて飽きないものでありたいと考えています」。

会場では作品やプリントのほか、写真集『雪幻 雪景』やポストカードなども販売されています。

【松本 健二 写真展「雪幻 瞬感」】
会期:2018年11月4日(日)〜11月11日(日)
11:30~19:00(最終日は16:00まで)
会場:Gallery SIACCA
http://www.siacca.com/gallery/

松本健二さんのWebサイト
http://www010.upp.so-net.ne.jp/space-makken/