千葉 雅人 写真展「でゅふっ」

レポート / 2018年12月20日

真正面から顔をとらえ、人の命に肉迫した作品

タイトルの「でゅふっ」とは、人間の命に突き当たった瞬間の音。街の中で出会い頭にシャッターを押すことで、合意ではフイになってしまう人の本質が現れるのだと、写真家の千葉雅人さんは言います。

展示の様子。同タイトルで昨年行った展示「でゅふっ」から、今年9月発売の写真集『DYUF!』を経て、今回の展示に合わせて構成を新たにしたそう。

「学生時代に見た山内道雄さんの写真集『人へ』に触発され、出会い頭に人の顔を接写するという撮影スタイルに行き着きました」と千葉さん。強烈ではありますが、一人ひとりの持つ人間味を感じ、それが人間なんだと納得させられる作品です。

千葉さんが顔にこだわり始めたのは、学生時代に見た作品がきっかけ。出会い頭に撮るという撮影方法に衝撃を受け、このように顔を接写しなければ写真家になれないのかと考えたのだそう。それから10数年。写真集『愛』『虻2』など、人間にフォーカスした作品を発表してきました。

今回の展示では、顔面のみを接写した作品85枚が並びます。じっとカメラを見据える顔。取り繕っていない表情。合意の上で浮かべる笑顔。ハイコントラストのモノクロームでプリントされた作品には、一人ひとりの顔に刻み込まれた人生が露わになっています。

「顔へのこだわりが強かったんです。顔を通して人の命みたいなものに突き当たりたかった。それを撮るために、知り合いの弾けた笑顔、ポートレート、スナップというアプローチで顔を接写する撮影方法を試みました。この作品を通して、顔へのこだわりを昇華できました」

でゅふっシリーズでは3年弱をかけて200人以上の人間の顔を撮影し、命のエネルギーを間近で見てきた千葉さん。現在は反動で美しい風景を撮っているそうですが、いつかまた街に戻り人を撮りたいと展望を話してくれました。
強烈な作品の中にくっきりと現れた人間味を見に、ぜひ会場へ足をお運びください。

知人の笑顔、ポートレート、スナップの3つのアプローチで撮った中で、スナップでの接写は約150人。一人を撮るのにかなりの神経を使うそうで、撮れても1日に2人が限界だと、千葉さん。

2018年9月に発売された写真集『DYUF!』。

【千葉 雅人 写真展「でゅふっ」】
会期:2018年12月17日(月)~12月26日(水)、
2019年1月5日(土)~1月6日(日)
13:00~19:00
会場:ギャラリー蒼穹舎(12月27日~1月4日は休廊)
http://www.sokyusha.com/gallery/20181217_chiba.html

千葉さんのWebサイト
http://masatoco.com/