滝原 逸郎 写真展「KEGON」

レポート / 2018年10月18日

~静謐な光に満ちている、一瞬の時~

会場にて、滝原さん

日本三大名瀑の一つである華厳の滝。会場に入ると、高さ97メートルから落下する水の造形美とその前を飛翔するツバメたちの姿は、まさに一幅の絵のよう、岩にぶつかり舞い踊る水飛沫の一粒一粒は目に飛び込んでくるように感じます。

ISO1600、絞り13か16、シャッタースピードは1/2500以上。
水滴とツバメをなるべくとめて、水飛沫のグラデーションにツバメをそえているかのような絵作りを狙い、滝の水の模様と共鳴するようにツバメが写っている絵を抽出するため、トータルで数万枚撮影されたそう。昼頃には滝の辺りが影になり、前を飛んでいるツバメに光が当たることで茶色っぽくなり絵にしづらくなるため、朝から午前中の時間帯に今年の4月末から6月頭のシーズンに通いつめたとお聞きしました。
滝への光のあたり具合の微妙な変化による滝の姿は、水墨画的な技法、洋画的な技法で描かれたような美しさです。

会場の4Kモニター2台のスライドショーでは470枚の写真が入れられていて、一期一会の「KEGON」を見ることができます。作品とはまた違った迫力があり、しばらく魅入られてしまいます。ハーネミューレというアート紙を使っての今回のプリントは、滝原さんが好きな表現ができたとのこと。こちらの用紙は独特なテクスチャーがあり、作品の絵画的要素をより一層深めています。
皆さまもぜひ会場へ足をお運びください!

今後の作品について、絵画的表現を目指すのを本流としてより極められていくとお聞きして、大変楽しみです。来秋予定されている京都の展示では、秋、冬、春と新たに撮影される新作が増やされるということなので、東京の展示を見られた方もまた違った雰囲気を楽しめるのでは!

京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク
「KEGON」(仮)
会期:2019年10月29日(火)~11月17日(日)

【滝原 逸郎 写真展「KEGON」】
会期:2018年10月17日(水)~10月27日(土)
10:00~18:30
会場:EIZOガレリア銀座(日曜・月曜定休)
https://www.eizo.co.jp/galleria/ginza/event/