~私たちの目に映ってはいるけれど、意識に上らない情景に気づかされる写真展~
会場に足を踏み入れると、4つの感情のときによってわけられたモノクロ作品33点が展示されています。フレームサイズやトーンは統一されていますが、作品サイズに強弱がつけられていて、見るテンポのリズムだけでなく、普段周りを気にして押し込めているものが解放されていくように感じます。
ー写真展の中で作品を分けられている4つの感情のときは、撮影時より意識していらっしゃいましたか。
「そんなことはなかったですね。実際の生活の中で楽しいことや、入院などのいやなこともあり、ごちゃごちゃしていました。今回大きなギャラリーでの展示なので、喜怒哀楽を壁面で明確に分けるという意図で決めたということが大きいですね。
このテーマで撮り始めてから4年になり、2017年1月にクリエイティブウォールで写真展をしませんか、という話をその1年前にいただいてからのスタートになります。その間に小さな写真展を3回重ねてくることで、育ててきた感じです」。
ー今回の写真展でテーマは一区切りした感じでしょうか。
「他にやりたいこともあり次にいこうと思っていますが、自分のテーマというべき、自分の病気と向き合うということは変えないでやっていこうと思っています。自分の場合は誰かに届けるための写真というものではなく、 極めて自己本位的な作品です。内面と向き合い、自分が綺麗だと感じる光と影の世界を追い求めています。
他人から見れば、自分にとって日常的なことも非日常になります。身近でつまらないことでも、人から見ればおもしろいことは多々あると思っています。遠くに行かずとも撮れるものはたくさんあり、徒歩圏内で撮影する自分のことを旅しない写真家と言ってます」。
この上なく幸せ、至福という意味をもつ7th Heaven。 病気によって生活に制限がかけられている日々のなかで、生越さんがとらえた心の風景写真である作品の数々。 美しく繊細なモノクロ作品からは、何気ない日常の中に煌めく世界があることに気付かされます。ぜひ会場へ足をお運びください。
【生越 文明 写真展「7th Heaven ~至福のとき~」】
会期:2020年2月21日(金)~2月26日(水)
11:00~19:00
会場:オリンパスギャラリー東京(木曜休館)
会期:2020年4月17日(金)~4月22日(水)
10:00 〜18:00
会場:オリンパスギャラリー大阪(木曜休館)
https://fotopus.com/showroom/index/detail/c/2602
生越さんのWebサイト
https://kasutera.wixsite.com/ogoshfmi