【パリブログVol.13】「外出制限下の生活」

パリブログ / 2020年4月16日

好天が続き、半袖で過ごせる日も

3回目の大統領会見が、4月13日にあった。

外出規制の5月11日までの延長が発表され、それ以降もレストランやバー、映画館などのいわゆる“3密”の商業施設、またイベントなどは7月中旬まで禁止となった。この状況で制限解除になると思っていた人もいないだろうし、驚きはない。3月17日から規制がかかり、1ヶ月が過ぎ私も世間もこの生活に慣れてきた感もある。次の1ヶ月も心身の健康に気をつけながら、なるべく充実した時間にできるようにしていきたい。

さて、ギャラリーの進捗に関しては、お伝えできることが少ないので、外出制限下の生活について書いてみようと思う。

最近の私の1日は、

午前7時に起床。サマータイムになったこともあり朝はもう明るい。天気が良い日が続いているので朝起きるのも楽だ。自宅勤務だと生活が不規則になりがちだが、なるべく決めた時間に起きるようにしている。 ウェアだけ着替えて午前7時30分からランニングへ出かける。

コースは自宅のある14区内で6Km程度のもの。

自宅からモンパルナス駅へ向かうメーヌ通りを上り、モンパルナス墓地の塀伝いに東へ横切る。サルトル、モーパッサン、セルジュ・ゲンスブール、ジャック・シラク、写真家ではマン・レイ、ブラッサイなど錚々たる著名人が眠っている墓地だ。

奥に見えるのはモンパルナスタワー。気温が上がり、緑が増えてきた。

地下の納骨堂「カタコンブ」があるダンフェール・ロシュロー広場を通過したら、モンスリ公園へ向かって伸びる並木道の緩やかな上り坂を進む。

ダンフェール・ロシュロー広場。朝は人気がなく、澄んだ空気が心地よい。

門が閉ざされたモンスリ公園を横目に半周し、各国から留学生が下宿している国際大学都市「シテ・ユニヴェルシテール」沿いの大通りを走る。ポルト・ド・オルレアン駅のあたりで北上し帰宅する。

帰宅したら、シャワーを浴びてから寄り道して買ったクロワッサンかリンゴ、バナナなどの果物とコーヒーをとって軽く済ます。

午前中は、日本からの連絡のチェックや、少し面倒な仕事にあてて、お昼になったら1時間程の休憩をとる。お昼はパスタやサンドイッチ、ラーメン、昨日の残り物などで済ます。

食後に買い物に出かけることもある。

今のところフランスでは食料の不足は生じていないが、ソーシャルディスタンスを確保することによるお店の入場規制があり、入店してから買い物を済ますまで時間がかかる。買い物自体はほぼいつも通りで今の季節は、アスパラガスや水々しいサラダ類、いちごが美味しい。

野菜や果物は普段通り入荷している。外食や交遊費が減った分、普段の食べ物は少し贅沢に。

休憩の後は、夕方まで仕事を再開する。

1日のうちにクリアする課題を決めて取り組んで、一つ終えたらコーヒーを入れたり、少し庭を歩いたりして気分転換をする。人にもよるし、慣れも必要だと思うが、生活空間である自宅で仕事をするのは、はじめのうちは切り替えが難しい。会社のように隣に同僚がいるわけでもないし、私の場合は日本との時差もあるので、連絡にも時間がかかる。とはいえ、これらは慣れと気の持ちようでカバーできる。集中力を維持する工夫をしながら、あまり自分にプレッシャーを掛けないようにできることを進めている。

仕事が終わってからも時間の使い方には工夫が必要だ。ぼうっとしてYoutubeやネットサーフィンをしていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。

そんな日があることも自分に許しつつ、新しい食材やレシピに挑戦して料理をする、少し長めの本を電子書籍で読む、フランス語の小説を音読しながら読む、映画を見る、手をつけずに置いてあるフランス語のテキストを再開する、LINEやFacetimeで友達と食事をする……。など、有意義な時間の過ごし方を探しつつ、過ごしている。

できないことや、苦労することばかりに目が行きがちな生活だが、この生活で生まれた繋がりもある。

私の場合は、近所づきあいができたことだ。アパートの管理人が焼いたパンを持ってきてくれたり、隣の家族が米酢を借りに訪ねてきて、手作りのマヨネーズを持ってきてくれたり。きっとこんな状況でなければ、お互いが忙しい日常に追われ、こんな繋がりは生まれなかったと思う。一人暮らしの身としては、身近に言葉を交わせる人たちがいるだけで、気持ちが救われる。

SNSを通して、いま会えない友人と連絡を取るのも気持ちを前向きに保つには有効だ。日本でもフランスでも、長丁場となりそうなこの生活だが、また日常が戻ってきた時に、貯め込んだエネルギーを発散できるように、今は粛々と自分にできることをやっていきたい。