目の前に有る物、が見える
目の前に有る物、を見る
その普通の仕草一部が、思考を変える事で全て変わって見えます。まるで角膜一枚が剥がれたような感覚。
既存の観念から線一つを削除する事で、∞を感じるのは、とても新鮮で新感覚です。
私は表現における自由さえ感じました。そうすると像(一コマ)からカラーのリズムが見えてきました。
人は各自、自分のストーリーを持っています。そのように、どの一コマにもそのストーリーがあり、そのストーリーが私にはカラーの音で見えます。
像からカラーの音が、リズムを持って残像(形,image)を残します。そしてそれを写す、
まるでカラーのオトとのおしゃべりのような表現、それが私の写真です。(MYU mikki)
ー作品を拝見して心弾む気持ち、見えないものが見えてくるような感覚を覚えます。今回の作品について、テーマを決められてからつくられていったのでしょうか。それともつくられるなかで考えられたのでしょうか。
毎回作品をつくるという工程は同じですが、今回はつくっていて「color」という言葉が浮かんできました。もともとこの「color」というものは自分の中にあったものです。それをどういったイメージとして伝えるべきかを自分に問いかけてみて、「color」の動きが私とおしゃべりをしているようなもの。それをそのまま「オト」として皆さまに見せしています。
ー サイズの違いや絵画のような作品、床に置かれての展示など、それらすべてが「オト」のリズムやメロディを表現しているのでしょうか?
そうですね。完成した作品のイメージは、最終的には見せ方にあると思っていて、レイアウトもすべて自分でつくっています。今回のテーマは幅広い空間を使ってのものなので、見てもらう方に楽しんでもらえるよう、壁によって色の違いや、展示位置で動きのリズムを表しています。
ーそういったものすべて、私たちの心の動きに呼応して見えてくるようですね。作品は加工されたりしてつくられているのでしょうか。
もともと写真とはあるものを写す、記録するものですが、今の写真の役割は幅広いと思っていて、私にとって自分が感じたもの、色を写しこんで完成したものが写真になります。レンズが写したものだけではないものを写すのが私のプロセスです。
ーそれらは自分の中で感じていたものを、言葉にしたり視覚化して表現していく中で自然に作られていくのでしょうか。
そうですね。
ー自分が表現するもの、自分の見せ方など意識していることはありますか。
自分を見せたいという気持ちはなく、今回の作品の場合は、自分の目で見た色が頭に記憶されていて、それを作品としてつくりあげています。見る人も自分の記憶にある色を思い出したり、自由に感じてほしいと思っています。
先ほどデザイナーとふれられましたが、自分のつくる写真は写真ではないという声もあり、写真ではないからデザインなのか、いろいろ壁にぶつかっている時期がありました。今はそういったことへあわせていくことをやめ、デザインと写真は別々のものではなく、自分にとって写真というものを表現しています。そのプロセスにおいてデザイナーといわれることは、かえって壁なのかもしれません。
作品作りのコンセプトは、私にとって人生のように変わらないものです。意識するというより染み出してくるもの。これからも変わらない気持ちで作っていきたいと思っています。
誰しも自分の中にだけある部屋があり、それを思い出させてくれるMYUさんの作品たち。見る人によって見えるものは違うけれど、それも自由だと思える心落ち着く世界。ぜひ体験してみてください。
【MYU mikki 写真展「colorのオト」】
会場:ニコンサロン(日曜休館)
会期:2021年3月2日(火)~2021年3月15日(月)
10:30〜18:30(最終日15:00まで)
https://www.nikon-image.com/activity/exhibition/thegallery/events/2021/20210302_shinjuku1.html
MYU mikkiさんのWebサイト
https://myumikki.com/