京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2階展示室にて、2025年5月20日(火)から6月1日(日)まで、三岡弘明 写真展「FORMS OF WINTER」を開催します。
三岡さんが撮影した雪や氷の非日常風景には、どのような工夫や裏側があるのか、詳しくお話を伺いました。

Q. 写真展のタイトルについて教えて下さい。
空気や水によって冬の自然が変化していく様子を捉え、写真という平面的な二次元の世界の中で、その変化をForms(形)として表現しました。

Q. プリントの表面がラメのように輝いていますが、何か施しているのでしょうか?
雪の風景写真は、パール加工された手漉き和紙 越前パールにプリントしています。
発色やコントラストが控えめで、表面が輝いているのが特徴です。
一方で、氷を写した作品には、色がしっかり出てコントラストもはっきりするアート紙を使用していて、それぞれの質感や表現に合わせて使い分けています。
またデジタルカメラに移行する前はフィルムで現像をしていましたが、使用できる紙には限りがありました。
ただインクジェットプリントに切り替えてからは、写真以外の用途で使用される紙も選べるようになり、表現の幅も広がりました。
作品ごとに最適な紙を選ぶことは、私なりのこだわりなんです。


Q. 風景写真を撮影する上で、気にかけていることはありますか?
風景写真は「一番いい瞬間を、一番いい場所で撮る」という特徴があります、そのために待つこともありますよね。
でも私はそういう風に撮ってないんです。自分が「いい」と思った時には撮影しますが、ほとんど待って撮影することはありません。
有名なところに行っても、場所が特定できてしまうような写真は撮らないようにしています。
Q.当館で展示される際の工夫はありますでしょうか?
作家側が見せたい写真を展示しつつも、あえて見せすぎない工夫もしています。
後は点数、区画などで作品を分けるようにもしていますので、ぜひいらしてご覧になって下さい。

Q.三岡さんの今後の活動について
定まっていない部分はあるのですが、冬の景色にはまだ見つけられていない深い魅力があるので、もう少し撮影をしていきたいと思います。

statement
冬の風景は雪があるかないかで、その趣がまったく異なる。
雪がなければ単なる冬枯れの風景だが、それがうっすら雪化粧しただけで、全く別の表情をみせる。
神秘と静謐の精神世界を垣間見せ、自然、地球への敬意や生命の儚さ、または生命そのものを美しさの中に感じることができる。
真冬の雪の風景は純白のキャンバスのようだ。
風のいたずらや水の気まぐれで、冬ならではの雪や氷の絵画が描かれる。
奈良に住む私にとって、雪によってどのような非日常を発見できるかという期待がある。
風景写真は日常の中に非日常を見出すことでもある。
そんな自然現象に心を動かされるような一期一会の光景も、あまり深追いせずに、その時の「気持ち」や「感性」で撮影する。
そんな私の心の動きを感じていただき、雪や氷という非日常を存分にお楽しみいただけたら幸いである。

【三岡弘明 写真展「FORMS OF WINTER」】
会場:京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2階
〒605-0038 京都市東山区堀池町374-2
会期:2025年5月20日(火)〜6月1日(日)
無休/入場無料
URL:https://kyoto-muse.jp/exhibition/182082