~ 人工の物質(マテリアル)が見せる素材感や空気感を表現! ~
会場に展示されているのは、建築物を構成する物質(マテリアル)を抜き出した約50点の作品です。
大学で建築を、大学院で装飾を研究し、鉄やガラスなどの荒々しい物質の表情をとらえることを追求してきたという松岡正明さん。建築設計事務所に勤めるかたわら、仕事にも役立つ趣味として写真活動を始めました。有名な教会やビルなどの全景を撮っていましたが、次第に物質そのものを表現する方向へ。
それがMATERIALSCAPEという表現でした。
「物質のゲシュタルト崩壊のようなイメージです。物質をずっと見ていると、『形』を超えて、物質自体が浮かび上がってくることがある。きっかけは、ポルトガルの地下鉄入口のエスカレーターを目にしたことです。レイヤーになったガラスやゴム、鉄などの物質が震えているのを見つけ、これだ!と感じました。無垢な手すり、柱の質感…そういった物質のピュアな横顔を見ています」
面白いのは、作品について説明する際、手すりや柱などを「彼ら」と擬人化して説明しているところ。松岡さんの目には、建物を構成する手すりや柱ではなく、一つの物質としての「彼ら」の物語が見えているのかもしれません。
「彼ら」の横顔を切り取るため、松岡さんは展示のレイアウトを考えた上で、光や対象物の大きさを撮影しているそう。
「仕事で建築CGパース(完成予想図)をデザインする際に、写真を飾る空間には本当に写真作品を組み込むんですね。それを現実にしている面白さ。フレームをレイアウトすると、物質がモノとして現れてくるので楽しいです」
今後は自分で模型などをつくって、ライティングなども工夫して撮ってみたいと、準備を進めているそうです。
物質のゲシュタルト崩壊とはどういうことなのか気になる方は、ぜひ足をお運びください。
【〈プロキオン・フォース〉(※)松岡 正明 写真展「MATERIALSCAPE」】
会期:2017年8月31日(木)〜9月6日(水)
10:00~18:00(最終日は15:00まで)
会場:アイデムフォトギャラリー「シリウス」
松岡正明オフィシャルサイト
https://www.materialscape-photolab.com/
(※)プロキオン・フォースは、アイデムフォトギャラリー「シリウス」が年2回行っている、39歳以下の若手写真家を支援する取り組み。詳細はこちら(http://www.photo-sirius.net/procyonphos/)