~青、それは世界で最も愛される色。懐かしく美しく変わらないもの~
銀塩モノクロプリントより歴史があるといわれているサイアノプリント(青写真)。町田さんにとってはじめてのサイアノプリントの写真展にお邪魔してお話を伺ってきました。
ー今回のテーマのきっかけについて教えてください。
青写真は図面などの複写に使われていたもので、そこから転じて自分の未来を描くという言葉にもなっています。今我々の生活は、コロナウィルスの影響で変化を強いられています。その一方で自然に目を向けてみると何ら変わりなく繰りかえされています。それはこの世の中が大きく変わる中見つめてみると、美しくより印象深く感じられます。
雲や水などの動きは、自然界の “青写真” による物理現象によって引き起こされ、力強ささえ感じる反面、ウィルスに翻弄される自分たち人間という存在のもろさを意識させられたことが、このテーマの作品を作るきっかけになりました。
写真作家としては、この状況下での自分の考えを発表したいという思いがあり、(コロナウィルスによって)変化してしまったことではなく、変わらない普遍的で美しいものをお伝えしたいと思い、自然界の “青写真” という変わらないものを表現しています。
ー写真の外側の部分の青色も印象的ですね。こちらは作品によって変えられているのでしょうか。
アンコントロールできない部分も大きいですが、結果的にそれが目に見えないウィルスをも写しこんでいるのではと思っています。(作品に)写されているものは物理法則によって動き続けている(変わらない)ものですが、そのまわりはアンコントロールのものがあるという、相反したものが作品に込められています。
ー作品によって青色の濃淡が様々なので、これによって見る人の好みも変わるかもしれませんね。
そうですね。心情に響く色を選ばれる方も中にはいらっしゃるのではと思います。青色の印象が強い作品なので、今までこれにぴったりなテーマが見つけられていませんでしたが、今回青写真を描き出すというテーマと合致したと感じています。
ことのきっかけである、この不安定な世界の流れを写した作品もたくさん発表されています。しかし自分はそうではない、変わらないものを描きたいということに、気づかされたと感じています。もしかしたら、こういった刺激がなかったら気づかなかったかもしれませんし、何かを見つめ直す機会をいただけた展示になったと思っています。
ふと空を見上げたくなる時、自分はどんな時かなと思います。身近にあるけれど変わらないもの、それに無意識的に癒しを求めているのかもしれません。自分にとって本当に大切なものとは、それに気づかされる写真展。ぜひ会場へ足をお運びください!
【町田 良太 写真展「Blueprint」】
会場:Gallery TK2(月曜/火曜定休)
会期:2020年11月18日 (水) 〜29日 (日)
水~金:12:00~19:30
土日祝:12:00~18:00(最終日17:00まで)
https://www.interart7.com/blueprint
町田さんのWebサイト
https://blueshot.net/