国境なき子どもたち(KnK)写真展「未来を切り拓く山奥の少女たち ― パキスタン ―」

国境なき子どもたち(KnK)写真展「未来を切り拓く山奥の少女たち ― パキスタン ―」
国境なき子どもたち(KnK)写真展
2024/09/12 ~ 2024/09/18
アイデムフォトギャラリー「シリウス」

認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)は、ストリートチルドレンや暴力や虐待の被害にあった子ども、大規模自然災害、国内騒乱で不安定な状況下にある子どもなど、世界各地で困難な状況にある青少年を支援する国際協力NGOです。1997年に世界の子どもたちと「共に成長する」ことを理念に活動を開始し、現在は6の国と地域で活動しています。日本の人々、特に若い世代に海外の子どもたちの現状を伝えることを目的に毎年写真展を開催しています。

 
写真展に寄せて

私が教室に入ると少女たちは一斉に立ち上がり「アッサラーム・アレイクム(こんにちは)」と挨拶をし、着席後は恥ずかしそうに下を向く。パキスタン北西部、山岳地域の生徒たちはとてもシャイだ。パキスタン女性の識字率は男性と比べて低い。北西部は特にギャップが大きい。こうした背景には、男女の役割への固定観念から、女子は幼いうちから家事や子守などの役割が課せられることがある。

生徒たちに今の女子教育について質問すると、下を向いていた少女たちが手を挙げ、とても流ちょうな英語で自分たちの意見を話し始め、私はその熱意に圧倒された。先生が「宿題を見せてください」と言うので私はカメラを構えた。少女たちはレンズに目を向けるのは恥ずかしいものの「私の宿題を撮って」と言わんばかりに積極的に課題を向けてくる。そのギャップは自分たちが置かれた状況を打破したいという強い意志にも感じられた。

KnKは女子中高校の校舎の建設や学校環境を整える事業を行うと同時に教員や村人と女子教育の大切さについて話し合い、家族や地域の協力と理解を促しており、生徒たちは学校での学びを通じて将来の目標や希望を持てるようになってきている。写真の少女たちの瞳や表情から、自分の未来を必死に切り拓こうとする意志を感じていただけたらと思う。

人道写真家 清水 匡 (カラー約60点)

 


 

国境なき子どもたち(KnK)写真展「未来を切り拓く山奥の少女たち ― パキスタン ―」
会 期:2024年9月12日(木)~9月18日(水)
    10:00~18:00(最終日15:00まで)
休館日:日曜日・祝日の一部(ギャラリーへお問い合わせください)
会 場:アイデムフォトギャラリー「シリウス」(https://www.photo-sirius.net
    東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F

公式サイトの写真展情報掲載ページはこちら

 

写真家プロフィール
清水 匡 (しみず きょう)/ KnK職員兼写真家 千葉県在住 www.kyoshimizu.jp
神田外語大学卒業。自然映画会社でカメラマンを務め『NHKスペシャル』や『生きもの地球紀行』などの制作に携わる。渡英し介護職に従事。帰国後、国境なき医師団日本の映像部にてアフリカやアジアの現場の撮影・編集を担当。2003年より国境なき子どもたちに勤務。広報、プロジェクト調整、組織運営を担う傍ら、人道写真家として活動中。

受賞歴:日経ナショナルジオグラフィック写真賞「ピープル部門」優秀賞(2015年)
    第24回酒田市土門拳文化賞奨励賞(2017年)
    Paris Photo Prize(PX3)
    “The State of the World” Curatorial Selection(2019年)
写真集:『Classroom-子どもとしての時を過ごす場所—』
    『LOST CHILDREN-バングラデシュ、失われた子どもとしての時間-』
共 著:『わたしは13歳、シリア難民。』
    『ぼくは12歳、路上で暮らし始めたわけ。』
    (国境なき子どもたち著/合同出版)