クマクラトオル写真展「みんな星のかけらでできてゐる」

クマクラトオル写真展「みんな星のかけらでできてゐる」
クマクラトオル
2026/03/03 ~ 2026/03/08
Jam Photo Gallery

2026年3月3日(火)よりクマクラトオル写真展『みんな星のかけらでできてゐる』を開催いたします。

クマクラトオルは20歳の頃から独学で写真を学び、写真撮影業の傍ら作品制作を精力的に行なっています。東京では初個展となる今作は、ブラックライトを照射して鑑賞する独特なスタイルの展示です。​

大判カメラにモノクロフィルムで3色分解された3枚のイメージを撮影しています。それらをデジタル処理で重ね、インクジェット出力の際に紫外線に反応するインクを組み合わせ、ブラックライトを当てることでそのイメージがカラーで浮かび上がる仕組みになっています。​

実際にギャラリーに足を運んでいただき、暗闇の中でこれまで見たことのない不思議で美しい世界を体験いただけるはずです。展示フレームやボックスも作家本人によるハンドメードで、細部まで凝った作りの展示となっています。

 

作家ステートメント)​
1801年イギリスの医師ヤング(Thomas Young, 1773-1829)が唱え、ドイツの生理学者ヘルムホルツ(Hermann Ludwig Ferdinand von Helmholtz, 1821-1894)によって発展させた三色説が発表されました。眼には赤・緑・青に反応する三種類の受容体があり、それらの刺激の比率に応じてさまざまな色が認識されるというものです。
1855年、イギリスの理論物理学者マクスウェル(James Clerk Maxwell, 1831-1879)は線形代数を用いてこの説を数学的に証明し、そして1861年にはガラス板上のモノクロ写真と三色のフィルターを用いてスクリーン上にカラー写真を映写する公開実験が行われています。

カラーフィルムが出現する以前のカラー写真は、カメラレンズを通る光をシアン・マゼンタ・イエローの三色に分解させて別々のモノクロフィルムに露光することによって原版を得ていました。
光を三色に分解する方法として、カメラ内部に装着されたハーフミラーやプリズムを使って三方向に分ける方法のほかに、レンズやフィルムの前面に赤・緑・青のフィルターを装着する方法があります。

本展の写真は、三色のレンズフィルターと大判モノクロフィルムによって撮られています。

かつての三色分解による撮影は、専用のカメラによって三色を同時に露光させてその瞬間をとどめようと試みてきました。その試行錯誤は機材の発展の歴史からも読み取れます。
しかし、大判カメラを使った撮影は、フィルターを装着してシャッターをチャージしてフィルムホルダーを装填して引き蓋を開けてシャッターを切るという動作を三回繰り返す必要があり、有無を言わせず時間の「ずれ」が生じます。いかに素早く動作しても一枚を撮るのに十秒弱、場合によっては数分数時間、あるいは日を跨ぐ「ずれ」まであります。
そうして撮られた三枚のモノクロフィルムが重ねられて一枚の写真になったとき、ひとつの対象の放つ光が、時間の「ずれ」によって色彩となって現れたのです。三枚のモノクロフィルムの色彩は、デジタルに変換して画像処理ソフト上で重ねることによって再現されています。

紙へはインクジェットプリンターを使用して出力されています。一般的にインクジェットプリンターの色彩は、シアン・マゼンタ・イエローのインクを紙の上に塗布することによって表出されます。本展の写真の本性は、この通常のインクジェットプリンターのインクと、紫外線に反応して赤・緑・青に発色するインクを組み合わせて、ブラックライトを照射することによって出現します。撮影時に三色に分解された光の三原色が、紙の上で再び合成される奇妙な現象に出会えることでしょう。かつて使われていた技術を現代で提示するとき、現代の技術と混ざり合い複合体となって、さらに明滅を繰り返しながら研ぎ澄まされて、それらの点と線の延長のなかにいるということに驚嘆と感動をもって実感します。

 


 

▼写真展概要
クマクラトオル写真展「みんな星のかけらでできてゐる」
会期:2026年3月3日(火)~3月8日(日)
   12:00〜18:00(日曜17:00まで)
   月曜休廊

会場:Jam Photo Gallery(www.jamphotogallery.com
   〒153-0063 東京都目黒区目黒2-8-7鈴木ビル2階B号室
   050-7118-1669