愛知県津島市本町

産業編集センター 出版部
2024/10/16 ~ 2024/11/15
愛知県津島市本町
【旅ブックスONLINE 写真紀行】
産業編集センター出版部が刊行する写真紀行各シリーズの取材で訪れた、全国津々浦々の風景を紹介しています。
書籍では掲載していない写真も地域ごとに多数掲載。
写真の使用・販売に関するご相談は旅ブックスONLINEのお問い合わせフォームからご連絡ください。
川の形がそのまま町の形になって残る古い町並み
津島は愛知県の西部、名古屋の西7キロのところにあり、現在は名古屋で働く人たちのベッドタウンとなっている。だが町の歴史は非常に古く、6世紀の建立といわれる津島神社の門前町として発展してきた。津島神社は、京都の八坂神社とともに牛ご頭ず天王(てんのう》(平安京の祇園社の祭神)信仰の二大社として知られ、全国に約3000もの分社がある。「津島神社に参拝すれば、全国の神社にお参りしたことになる」といわれたほどで、この場所に門前町が発達するのは当然のことだったろう。
今も「天王さん」と呼ばれ親しまれる津島神社界隈には、昔は天王川という川が流れていた。津島は門前町としてだけでなく、この川を利用した舟運による物資の集散地として、また港町としても発展し、最盛期には川の両岸に数千軒もの町家がびっしりと建ち並んでいたという。だが明治時代、洪水が頻発していた木曽三川の整備とともに天王川は廃川となった。その時堰き止められた水が、今は天王川公園の池となって残っている。池の幅を見ると、天王川がかなり大きな川だったことがわかる。
名鉄津島駅の駅前から西へ、天王通りという大通りがまっすぐ津島神社に向かっているが、その途中で交差する津島街道を南下していくと、しばらくして伝統的な古い家屋が建ち並ぶしっとりとした通りに出る。ここが本町筋。元の天王川東岸にあった自然堤防の上にできた町だそうで、道は往時の川の形に沿って緩やかに湾曲し、変化に富んだ町並みをかたちづくっている。川は無くなったが、川の形がそのまま町の形になって残っているという、珍しい風景だ。
津島の黄金時代、この辺りには奥行100メートルを超す豪商の邸宅もあったそうで、今も切妻造りに漆喰の真壁、格子や出格子、桟瓦葺の豪勢な町家が建ち並ぶ。連続して立派な袖壁が連なる家並みは見事なもので、往時の繁栄ぶりを偲ばせる。
本町筋には、その異色な外観でひときわ目立つルネッサンス様式の洋風建築がある。元銀行だった建物で、現在は「津島市観光交流センター」となっている。ここで町のさまざまな情報が仕入れられるので、本町を散策する前に一度寄っていくと良いだろう。
※『ふるさと再発見の旅 東海北陸』産業編集センター/編より抜粋







