命は相続だ。私たちは自然から与えられた恩恵を受け、毎日、死んだ植物や動物から栄養を吸収している。稲は水分が不足すると隣の稲を枯らしてしまうこともある。果物の実は数を減らすことで甘くなる。牛はミルクだけでなく、その肉も人間に食べられる。
　命は輪廻だ。鳥に食べられた果実は再び土に還り、売れ残った花も土に還り、人も最終的には土に還る。すべては翌年の春に土からまた新しく芽吹くのである。消えていくものもあれば、芽生えつつあるものもある。
　命は賛歌だ。命は異なる土地でそれぞれの環境に適応する能力を進化させ、他の種との競争の中で自らを強くしていく。人間もまた、生命が人間に有益な特徴を進化させる手助けをする。
個々の力は弱いかもしれないが、前進しようとする強い意志がある。

　当たり前のことなどない。一年を通じて首都圏の農家には休みがない。草を刈り、肥料を与え、土を耕し、再び肥料を施す。安穏なことなどない。夜、田んぼから聞こえるカエルの鳴き声は最高の子守唄だ。そのカエルの声が聞こえない夜は心配で眠れない。変わらないことなどない。地球温暖化が進むにつれ、植物の周期も変化している。ウイルスが進化するにつれ、動物も病気にかかるようになる。

　この世界で、私たちは様々な恩恵を受けながら、日々を過ごし、年を重ねている。子どもが成長して大人になっていくように、変わらないのは、食事の前のあの言葉だ。
　「いただきます」

周 俊智「いただきます」
会期：2025年2月4日（火）〜2月9日（日）
　　　12:00 – 19:00
会場：TOTEM POLE PHOTO GALLERY（https://tppg.jp）
　　　東京都新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F　　　

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