佐内正史 写真展「Strong memory」

佐内正史 写真展「Strong memory」
佐内 正史
2025/10/16 ~ 2025/11/10
book obscura

Strong memory

波に乗っている、色んな波に乗った、乗らないっていう事は選ばなかった、全部乗った
頭や体の表面が興奮していた

写真を撮って、プリント作業を進めていきながら段々片付いていく
写真集が出来て、展示がはじまって、展示が終わって、何年かしたら、この写真達が何者だったのかが段々わかってくると思う

それを”ストロングメモリー”と呼んだ

真っ暗い山
点滅する鉄塔のあれ
腕時計へ当て擦り
回転数が上がって顔の形が変になる
空調の調整が難しい
メロンの記憶狩り

佐内正史

 


 

写真家・佐内正史さんの最新写真集と擬態屋2nd アルバムが一体となった『Strong memory』の発売を記念して写真展を開催致します。本展示では「Strong memory」とともに、写真集に収録された写真作品を展示・販売します。

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佐内正史さんの写真はいつも、記憶の先を行く。

きっと誰しもどこかの風景を見て、言葉で言い表せられない魅力に取り憑かれたことがあるだろう。

それは広い範囲で風景を汲み取り、脳裏に焼き付き記憶から剥がれなかったりする。
平面で捉え記憶に固定してしまうとそれはたちまち情報になってしまうのかもしれない。

佐内さんの写真は、そんな脳裏に焼き付いて剥がれない大きく捉えた記憶の先で浮遊している。

無意識にこれ以上行ってはいけないと思ってしまう、目に見えないスタート地点にある白線のようなものの内側で佇んでいたのに、佐内さんはその一線をフワっと飛び越えているのではないかと思っている。

佐内さんが撮影してきた写真を見ると、自分が捉えていたイメージには記憶されていない、些細な一部を捉えていて、毎回衝撃を覚えるのだ。

白線の内側から広く捉えていた景色に何があるのか指をさして説明が出来るのに、そこにたしかに存在していたのに拾い切れていなかったものを、佐内さんはそっと掬ってくる。

これは簡単なことでも、易しいことでもないと思う。
無酸素で海底に潜り込むような、無酸素でヒマラヤを歩くような精神力と体力がいることなのではないかと思う。

もしかしたらそれは、姿や形を捉えている訳ではなく内臓や骨の中に入り込むような行為なのかもしれない。

そこに入れる佐内さんの”ストロングメモリー”を、目と耳で存分に鑑賞して欲しいと心から思う。

book obscura 店主 黒﨑由衣

 


 

■開催情報
佐内正史 写真展「Strong memory」
会 期:2025年10月16日(木)- 2025年11月10日(月)
    12:00-19:00
会 場:book obscura(東京都)
定休日:火曜日・水曜日

 
■書籍概要
佐内正史写真集「Strong memory」
擬態屋2ndアルバム「Strong memory」のワンパッケージ
¥3500(税抜)
判 型:215×135
頁 数:96頁
製 本:ソフトカバー
発行年:2025

 
公式サイト掲載ページはこちら

 


 

作家プロフィール
佐内正史 Masafumi Sanai
写真家。97年、写真集「生きている」でデビュー。写真集「MAP」で第28回木村伊兵衛写真賞を受賞。08年に独自レーベル「対照」を立ち上げる。近著は『写真がいってかえってきた』『静岡詩』。また、曽我部恵一とのユニット ”擬態屋” で2ndアルバム+写真集「Strong memory」を今秋10/16にリリース、同時に写真展「Strong memory」をbook obscuraにて開催。主な展覧会に「展対照<第二部>Vacant(東京、2025年)、「写真がいってかえってきた」book obscura(東京、2024年)、「静岡詩」タカ・イシイギャラリー、(東京、2023年)「静岡詩」静岡市美術館(静岡、2023年)、など。