The Master’s hands

The Master’s hands
秦 達夫
2017/09/01 ~ 2017/09/06
OM SYSTEM GALLERY

信州出身の風景写真家として信州の風景を撮影してきました。写真や野山が好きだからだけではなく「習得した技術を故郷のために使いたい」そんな思いがあるからです。しかし、これはみんながやっている事。もっと他の表現はないかと考え、たどり着いたのが「ひと」でした。

信州人は愚直で一本気、南に向かうほど温和な気質と言われます。美しい自然とは対照的に厳しい環境での生活、そこで育まれた人間性を表した言葉で誤解されることも多いと思います。ただ生活をスナップするだけではこれらは表現できません。その姿が垣間見られるのが「ものづくり」のひとだと思いました。水引・花火・酒造・笠・漆器・和紙を筆頭に歴史と文化がなければ地域に継承されない「ものづくり」と皮の加工やウクレレと言った新しい「ものづくり」この今昔の入り交じった土地のものづくりをしている「ひと」にレンズを向けることで信州人の魅力が紐解けると思い取材を行っています。

失礼な表現ですが撮影中にそんな太い指でどうしてこんな細かい仕事ができるのだろう?と思う事があります。元から太かった訳ではなく、ものづくりを続けた結果その指になった。指が仕事を選ぶのではなく仕事が指を育みその姿になっている。私はその指が好きです。時折見せるチャーミングな笑顔とものづくりに向けられる眼光の鋭さ工房から響く音を僕の作品から感じて頂けたら幸いです。