坂本 政十賜/門山 大介/横澤 進一/尾高 敬 写真展「FŪKEI」

レポート / 2019年1月19日

~今の自分が心惹かれる風景を探す展示~

手作りの棚には、写真を収めた木製のフレームが並んでいます。まるで本棚のよう。

坂本政十賜さん(右)と横澤進一さん(左)。会場にて、狼の写真を真ん中に。

それぞれが個展を開き作品を発表するなど活躍している、写真家の坂本政十賜さん、門山大介さん、横澤進一さん、尾高敬さん。写真展や作品を通して知り合ったというこの4人だからこそできるものを発表したいとの思いから、メンバーのアイデアを皆でさらに膨らませて構想を練り、準備を進め、今回の展示に至ったとのこと。

並んだフレームを引き出して作品を見ていくのは、お気に入りのレコードや書籍を探す楽しみを想起させます。受動的ではなく「能動的に写真を見る」という行為につながる、斬新な展示。
写真中央は、来場者に作品の解説をする坂本さん。

会場中央に木製の棺がでーんと置かれ、手作りの棚に木のフレームが整然と並びます。見渡してすぐに目に入る写真作品はほんのわずか。残りは見る人がアクションを起こさなければ見ることができないような仕掛けになっています。

フレームを引き出すと、思いがけない世界に出会えます。
「どんどん引き出して自由に見ていってください」と坂本さんと横澤さん。

「壁面を等分するようなグループ展ではなく、1つのフレームの中に4人の作品が存在するような展示をしたいと考えました。また、誰の作品というのは関係なくて、見てほしいのは写真。だからあえて壁にかけず匿名にしています。見たいと思わないと見ることができないですよね(笑)。何か一つでも、見た人の中に残れば嬉しいです」

会場中央に置かれた棺。FŪKEIメンバーの門山さんの力作です。「棺桶に写真を並べてみたい」というメンバーのアイデアからこの形に至ったとのこと。4人の作品が並んでいます。また、棺の中には鏡面が取り付けられていて、作品を見る人の顔が写り込むようになっています。アイロニー的な意味合いもあるそう。写真を覗き込む自分の表情から、何か気づくことがあるかもしれませんね。

たくさんの写真を見て、風景のイメージを持ち帰ってほしいのだと話す、坂本さんと横澤さん。展示期間中にも、その日の光やイメージに合わせて少しずつ展示を変化させているそうです。すでに初日の展示とは配置や作品が違っているのだとか…。また今後の展開として、巡回展や展示の構想から着想までの過程をまとめた冊子の発行なども考えているとのこと。

ステイトメント(左)と、板に貼り付けられた作品(右)。

ぜひ何度も足を運び、今その時の自分が心惹かれるFŪKEI(風景)を探してみてはいかがでしょう。

床に置かれた作品。その日のイメージに合わせて作品が変わるそうです。平積みされた作品は、めくらないとその下のものが見えない仕組みに。「自由に手にとって見ていってください」と横澤さん。

【坂本 政十賜/門山 大介/横澤 進一/尾高 敬 写真展「FŪKEI」】
会期:2019年1月10日(木)〜1月22日(火)
12:00~ 20:00(最終日は17:00まで)
会場:Alt_Medium(水曜日休廊)
http://altmedium.jp/post/179785359619/f%C5%ABkei

FŪKEI Webサイト
https://fukeinoba.tumblr.com/