山本 まりこ 写真展「熊野古道を歩いています。」

レポート / 2017年10月31日

優しい色彩・光彩で描き出された「エアリー」な世界遺産・熊野古道!

1回の旅では、3日程度がモチベーションを保ちやすく、かつ1日12km程度がちょうど良いのだそう。「感動した景色を眺める時間や、地元の人との触れ合いの時間など『旅の余白』を楽しみながら、一歩一歩進んでいます」と、山本さん。

絵画を描くように、写真に感情を入れ込んだ「エアリー」な作風で全国にファンがいる女性写真家の山本まりこさん。初写真集の出版記念でもある今回の写真展では、エアリーフォトと少し硬めの作品の2部からなるプリント作品30点と、映像作品2種が展示されています。

写真集に収録されていない作品も展示されているので、時間のある方はぜひ会場へ足をお運びください! 「写真展では、自分が好きな作品もピックアップして、大きくプリントしています!」と話す、山本さん。

山本さんのフィルターを通した世界遺産・熊野古道は、淡い色彩と柔らかな光彩で表現されていて、優しい風を感じます。一方で、雨にけぶる熊野の森をとらえた濃密な作品は、建築学科出身で建築写真も撮るという山本さんが、これまで見せてこなかったもう一つの世界観です。

「伊勢路の最難関・八鬼山(やきやま)越えも、中辺路の最難関・大雲取(おおぐもとり)越えも大雨! 大変でしたが、雨で石畳がきらっと光り、木々は水を湛え、辺りは霧がかり…そういった熊野古道のきれいな雨を伝えたくて頑張りました。エアリーな作品も、しっかりした作品も、どちらも私の中にあるもの。ぜひ両方の世界観を感じてください」

会場の片隅に展示されていた、手描きの「熊野古道マップ」。黄線が熊野古道(全体で1,000km以上)。青線がこれまで山本さんが歩いた道のり、なんと約240km!

神奈川在住の山本さんが、紀伊半島の熊野古道を歩くようになったのは、2011年秋に写真教室「カメラ女子 in 世界遺産のまち『熊野』」の講師を頼まれたのがきっかけ。旅の中で地元の人と触れ合い、美しい景色やおいしい料理に出合った山本さんは、多くの人に熊野古道の魅力を発信したいと考えたそう。自分の感動をエアリーな世界観で描き出すために、一瞬ごとに明度や色調、柔らかさや光の方向などカメラの設定を調整しながら撮影しているのだとか。

写真集にサインする山本さん。会場に訪れた方と親しげに会話する、気さくな人柄です。

「熊野古道を歩き始めたことをSNSで伝えたところ、全国や地元の方から応援の言葉をいただきました。実際に熊野古道を歩くと、ガイドブックには載っていない絶景や美味しい食べ物、地元の人々との交流などがあります。私が旅で出会った熊野古道の魅力を写真で表現し、発信することが、お世話になった地元の人への恩返しになれば嬉しいです」

初の写真集「熊野古道を歩いています。」(右)と、紙や装丁にもこだわった限定100部の写真集「KUMANOKODO」(左)(自費出版)。

【山本 まりこ 写真展「熊野古道を歩いています。」】
会期:2017年10月27日(金)~11月9日(木)11:00~19:00
会場:ソニーイメージングギャラリー銀座
https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/171027/

山本まりこさんのFacebookオフィシャル・サイト
https://www.facebook.com/marikoyamamotoofficial