小松 透 写真展「遠い渚―a distant shore―」

レポート / 2017年8月2日

丸いレンズ越しに見えるのは、陸に浮かぶ島!?

展示されているのは、丸いルーペ越しに作品を覗き込む立体作品と、その元となった6×6写真に丸を覆い焼きしたプリント作品の2種類。どちらも丸形を意識したつくりは、今までにない不思議な感覚を起こさせます。

これまで「木々」をモチーフに写真や映像などの作品をつくってきたという小松透さん。「“静物(STILL LIFE)”とは何か?」を常に自身に問いかけているそうです。
2011年の東日本大震災以降は、津波や地震の被害があった場所の木々を定点で撮影することを続けています。宮城県出身ということもあり、始めは帰省ついでに海側の地域を撮影して回ったと言います。

 「ふと目の前にある岩山が、陸地に浮かぶ島のように見えたんです。かつては海に浮かぶ小島だったんだろうな…と意識し始めると、他にも島のように見える場所がいくつもありました。実際にその土地の歴史や地層を調べていくと、約2億年前の三畳紀は海だった地域です。それが火山活動などにより今では陸地となっているんですね」。

実際に展示作品に目を向けると、大きく張り出した岩山とその前に並ぶ船を切り取った写真や、数本の木々が絡み合い島のように見える写真など、陸地でありながら海に浮かぶ島を連想させられる不思議なスポットが多くあり、岩山の上に悠々と並ぶ木々の存在が島らしさを強調しています。
また、小松さんが大切にしているのが、人との関わりです。例えば福島の避難指示区域。以前は人が暮らしていた地域に草が生い茂り、遠くに見える海は防潮堤でどんどん見えなくなっていく。そうした土地と人との関わりがどう変化しているかを追っているのだと教えてくれました。

小松さんならではの世界観をより一層楽しませてくれるのが、壁に並ぶ立体作品です。ルーペを通すことで平面的な作品が立体的に見える視覚効果が生まれるとともに、「覗き込む」というアクションが見る人の探究心を掻き立てます。

「カメラのレンズは丸いですよね。なぜ丸いのかが気になり出したのが、丸形にこだわった『遠い渚』シリーズの始まりです。実際に作品を丸くすると、カメラのレンズを覗き込むような感覚が生まれました。しかも、さっき撮った作品が古く見えたり、距離感が生まれたりと面白い効果があるんです」。

今回の展示は、来年発売予定の写真集『遠い渚』シリーズ第2作のために新たに撮りおろされた作品の一部を公開しているのだそう。一段落した後は、引き続き「木々」をモチーフに、新しいツールやモノを組み合わせるなど次の表現を模索していきたいとのこと。

ぜひ会場に足を運び、小さな窓の向こうに広がる「静物(STILL LIFE)」世界を想像しながらのぞき込んでみてください。

【小松 透 写真展「遠い渚―a distant shore―」】
会期:2017年7月24日(月)~8月6日(日)12:00~19:00
会場:RED Photo Gallery
http://photogallery.red/schedu…/2017/20170724/exhibition.php