金子 裕昭 写真展 アフリカタンザニア「サバンナ ストーリー」

レポート / 2017年8月24日

自然の中で悠々と暮らす野生動物たちのリアルな姿!

2つのスペースにまたがって展示されているのは、約70点におよぶ野生動物たちのリアルな姿。彼らが暮らすのは、世界遺産に登録されているアフリカ・タンザニア連合共和国のセレンゲティ国立公園です。
野生動物写真家の金子裕昭さんがこの地を訪れたのは2001年のこと。自然に囲まれた島根に生まれ「野生の王国」などのテレビ番組を見て育った金子さんにとって、一度は訪れてみたい憧れの地だったと言います。

「初めて訪れたサバンナには、あまたの動物たちが悠々と暮らしていました。目の前に広がる未知の世界に魅了され、いつの間にかカメラを手に訪れるようになっていました。“全部知りたい”という思いが強いんですよ(笑)」。

以来17年、毎年タンザニアに足を運び、野生動物たちの息づかいが聞こえる場所でテント生活をしながら撮影を続けているそうです。
撮影の際は、動物の行動を予測し自分の目で探しながら悪路を移動するため、動物の生態を知ることが大切なのだとか。ヌーの大群を撮りたいと、ヌーの行動と動物たちの水飲み場の状況を踏まえて張り込んだ金子さん。そのかいあって狙っていたシーンの撮影に成功したときは嬉しかったと話してくれました。目の前にヌーの群勢が現れ一気に水を飲み去っていく。たった15分の出来事だった。目を輝かせて当時の状況を話してくれる金子さんの姿はとてもイキイキとしていました。

展示作品にはリアルな補食シーンも多く収められているのが特徴です。それは、飽食の時代に対する金子さんからのメッセージが…。

「野生動物たちは必要な分しか殺しません。チーターが獲物を食べ、その残りをハイエナなどが食べ、骨は土に還る。しかし私たち人間はどうでしょうか。そうしたことを考えるきっかけになればいいですね」。

自然保護は外部の人間が自分たちの考え方を押し付けるのではなく、一歩譲ることが大切だと考えている金子さん。これからも「自然と人間の共存」をテーマに、タンザニアのサバンナに広がる野生の世界を撮り続けたいと意気込みを語ってくれました。

「僕が感じた新しい発見を作品という形で世の中に出すことで、皆さんにも何か新しい発見があればうれしいです。作品にはキャプションを付けていませんので、来廊した方が自由に感じていただればと思います。展示期間中は毎日在廊しているので気軽に質問してください」。

撮影に関する資料を手に、丁寧に説明する金子さんの姿から、真摯さが伝わってきました。タンザニアのサバンナに暮らす野生動物たちの姿を見たい方、金子さんの話を聞きたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

【金子 裕昭 写真展 アフリカタンザニア「サバンナ ストーリー」】
会期:2017年8月16日(水)~8月28日(月)
10:30~18:30(最終日は16:00まで)
会場:リコーイメージングスクエア新宿(火曜日定休)
写真展情報