~ 漆黒に浮かぶ優美な光の姿をとらえた抽象的な作品! ~
これまで風景写真を撮ってきた服部彌吉さん。一度入院したのをきっかけに身近な花々を撮影するようになったと言います。ある雨の日、水たまりに映り込んだ花を撮ったところ、花の輪郭がやわらかい曲線を描いていたそうです。それは服部さんが理想とするぼかし表現。以来、映り込みによるぼかし表現にはまり撮影を追求していくうちに、次第に身近なものを使って撮るようになり、その結果生まれたのが「ヒカリ絵」という表現でした。
「真っ暗にした室内で、グラスなどの身近なものに光をあてて撮ります。光の色も模様も、毎回が試行錯誤。特に難しいのは紫の光で、赤と青の光の強度を変化させながら掛け合わせ、求める色の濃淡が出る一瞬を探します。同じ模様、同じ色の濃淡は再現することはできませんね」
漆黒に浮かぶ光というシンプルな構成だからこそイマジネーションが掻き立てられ、高い没入感を得られるのが特徴です。
例えば深紅の光を映した作品は炎に集まる蛾の姿を描いた日本画家・速水御舟の『炎舞』を彷彿させ、紫と黄色の光を映した作品は極楽鳥花(ストレリチア)のように見えてきます。
「写真のぼかし表現を主体に、過去7年間撮りためた作品の一部です。誰も今まで発表したことのないような世界を表現したかった。すぐには理解してもらえないんですけどね(笑)。見た人が『きれいだな』と癒されるような、あるいは『何だこれは』と反応が返ってくるような写真を、これからも撮り続けたいです」
抽象的な表現のために、絵画など一流の作品を見て感度を高めているのだと、服部さんは話してくれました。
不思議な模様、濃淡で折り重なる光の世界に癒されたい方、一体この形は何に映り込んだ光なのだろうと、服部さんの世界観に魅入ってみたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。
【服部 彌吉 写真展「ヒカリ絵 ―光の映り込み―」】
会期:2017年9月8日(金)〜9月14日(木)
10:30~19:00(土日は11:00〜17:00、最終日は14:00まで)
会場:富士フォトギャラリー銀座
http://www.prolab-create.jp/gallery/ginza/