~イメージの本質をとらえたフォトポリマーグラヴュール作品~
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吉祥寺駅南改札(公園口)から徒歩7分、井之頭公園に続く吉祥寺通り沿いのビル地下1FにあるGallery 惺 SATORUは、現代作家を中心に様々なアート作品を取り扱っているギャラリーです。
会場では、フォトポリマーグラヴュール作品を中心に、エンボス作品、モノタイプ、立体作品など約20点が展示販売されています。中でも今回の個展に合わせて制作された「noise」シリーズは、敢えてノイズやドライポイントを加えることで、イメージの本質や物質感を表現。雁皮刷りのフォトポリマーグラビュールならではのマチエール(素材感や物質感)が、豊かな表情を作り出しています。
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藤田さんの作品は、紙やインクの粒といった物質感(マチエール)が伝わってくるのが特徴です。そのため、ギャラリー会場では額装せずに裸のままで展示されています。
藤田修さんは、これまでに数々のビジュアルアート作品を発表してきた版画家です。イメージの本質を表現しようと試行錯誤する中で、1970~80年頃から客観性のある素材として写真を扱うようになったとのこと。フォトエッチングやフォトポリマーグラヴュールなどの版画技法を用いた作品は、様々な美術館に収蔵されるほどです。近年は写真フィールドからのオファーが増え、代官山フォトフェアにも出展するなど活躍の幅が広がっています。
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「いろんな情報が飛び交い、高音質の音楽や高画質の写真など隅々まできれいなものが当たり前の現代において、本当に必要なものはもっとシンプルだと考えています。たとえば子どもの頃、トランジスタラジオで聞くノイズ混じりの音楽に胸をときめかせ、網点のある粗く小さな新聞写真に感動したように。本質を表現したものは人の心を動かすのです。どう写るかではなく、どう表現するかをこれからも追求していきたいです」
藤田さんのいう「イメージの本質」が気になる方、写真や版画という枠組みを超えたビジュアルアートの世界に興味のある方は、ぜひ会場へ足をお運びください。
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今回の展示に合わせて刷られた「noise」シリーズ モノタイプシリーズ
エンボス作品は、昨夏から手がけているそうです。凹凸だけで表現された色のない作品ですが、写真や版画の表現として成立しているのがすごい。 写真を使った立体作品も展示されています。
また、古典技法によるモノクローム作品を取り扱っているMonochrome Gallery RAIN(池尻大橋)で開催される企画展でも、藤田さんの作品が展示される予定だそうです。ご都合のつく方は併せてお楽しみください。
【藤田 修「noise」】
会期:2018年12月22日(土)~2019年1月13日(日)
12:00~19:00(最終日は17:00まで)
会場:Gallery 惺 SATORU
http://gallerysatoru.com/
【M.G.RAIN SPRING SESSION 2019 vol.1】
会期:2019年2月2日(土)~3月3日(日)
14:00〜19:00(開廊は土日のみ)
会場:Monochrome Gallery RAIN
https://monochromegalleryrain.com/
藤田さんのWebサイト
fujitaosamu.com