小島 一晃 写真展「光の行方」

レポート / 2018年12月12日

~産業用レンズが映す、やさしい光景~

会場にて小島さん。良い意味で、写真展なのかレンズの説明会なのか分からなくなるくらい、個々のレンズの魅力と作品表現について説明してくれました。ちなみにボディは今のデジカメだそうです。「昔のレンズと、今のデジカメをコラボレーションすることで、曖昧なようではっきりと映し出すことができます。ピント範囲が狭いため、人の印象や視界に近い表現になっていると思います」とのこと。

アーティストやクリエーターの発表の場としてさまざまな展示が開かれているサロン ドゥ ラー。サロンの名のとおり落ち着いた雰囲気の室内に、ユニークな方法で撮られた50点以上もの写真が所狭しと並びます。

小島さんが使っているレンズ。カメラにセットできるように、ギリギリまで枠を削ったりと工夫が凝らされているそうです。 同じレンズでも、2.5mm違うだけで撮れ方が違うそう。レンズ研究家としてさまざまなレンズを比べ撮りしている小島さんだからこその解説に聞き入ってしまいました。

光がにじみ、なだらかにボケていく光景は、曖昧な美しい記憶を眺めているよう。撮影したのは、レンズ研究家という一風変わった肩書きを併せ持つ、フォトグラファーの小島一晃さんです。
作品に使われているのは、オールドレンズをはじめ、映画の映写機や投影機に使われるシネレンズやプロジェクションレンズ、レントゲンのX線撮影用のレンズといった特殊工業用レンズなど。現代カメラ用のレンズとは違うユニークな写り方にハマったのだと、目を輝かせながら教えてくれました。

ノスタルジックな世界を映した作品。写真中央のイーゼルに飾られているのは、サロン ドゥ ラーが入居する奥野ビルの共用スペースを写したもの。

「レンズの差による光の表現の違いを楽しみたくて、シーンや被写体にあわせて様々なレンズ、様々な撮り方を比べています。ただのガラスのレンズを通った光が、予想もつかない屈折をして像を結ぶ。見たことのない光が表現されるのがとても面白いですね。毎回、このレンズの光はどこへ向かうのかなと、ワクワクしながらファインダーをのぞいています」

花などの自然を被写体にした作品。机上にあるのは、アクリルパネルにプリントした作品で、窓際に飾ると、透過する光を楽しめます。

映画投影用のレンズで人形を撮った作品は、画面端に向かうなだらかなボケがソフトな立体感を作っています。レントゲンのX線用のレンズは被写体深度が浅いため、写っている花の輪郭がぼやけ印象派の絵画のように見えます。
小島さんが今夢中だという、六櫻社のパーレットから取り出した単玉レンズで撮った夜景作品は、光の輪郭が球体状ににじみ、ファンタジー世界に迷い込んだような印象を受けます。

花や人を映した作品。ドラマチックな映画のワンシーンにも見えてくるのが面白いです。

不便なもので撮るのが楽しいのだと小島さん。これまでに入手したレンズは200本以上。今回は、その中から約10本のレンズで撮った作品を展示しているそうです。
オールドレンズのソフト表現が好きな方、工業用レンズを通した光景に興味のある方、小島さんとのディープなレンズ談義を楽しみたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

写真左の花の作品は、レントゲンのX線用レンズで撮影したもの。被写体深度が浅いため、全体的に曖昧で、絵画のように見えます。作品は会場内で展示販売されています。

【小島 一晃 写真展「光の行方」】
会期:2018年12月10日(月)〜12月16日(日)
11:00~19:00
会場:サロン ドゥ ラー
https://salondela.com/schedule/exhibition/2377

小島さんのInstagram
@lens_nostargie/