楳村 修治 写真展「愛しき石仏たち」

レポート / 2017年12月4日

庶民の文化遺産・石仏の愛らしい表情!

高校生の時に見に行った埼玉・寄居にある少林寺の石仏「五百羅漢」がきっかけで人生が変わったという、写真家の楳村修治さん。500体の石仏を前にして自分の弱さに気付き、もっと強く生きなければならないと、精神的に励まされたのだそう。以来、ライフワークの一つとして、50年にわたり「石仏」を撮影しています。
石仏を追いかけることで、知らない街に足を運び、記憶に残る日本の原風景に出会えるのだと言います。

石仏以外にも、さまざまなテーマで作品づくりをしている楳村さん。「全ての作品のベースにあるのは“LOVE&PEACE(愛と平和)”です」とのこと。

「石仏を撮る時は、『撮らせてください』という思いでカメラを向けます。僕と石仏との関係が合った時に、良い表情を撮らせてくれる。何度行っても撮れない石仏もあります」。

本の出版記念を兼ねたこの展示では、ムック本に収録されている石仏の写真と、新作の写真を合わせた24点の作品が並びます。遠くを見つめる不動明王像、女性優位に表現された道祖神、美しい面立ちをした観音像、笛を吹いている可愛らしい風貌の石仏など、表情やロケーションも様々で、それぞれの石仏に個性があるのが分かります。さらには、かつて富士山の鎮火を願って作られたと想像できる石仏もあり、人々が石仏に込めた平和への祈りとロマンを感じます。

「寺院にある仏像が権力者のためのものであるのに対し、石仏は庶民の文化遺産です。未来につないでいくべきもの。自分を変えてくれた御礼の意味を込めて、僕が発信することで、もっと多くの人に知ってもらいたい」。

会場の様子。本当にさまざまな石仏があるのだと分かります。

ここ数年で一気に石仏の風化が進んでいることを案じている楳村さん。元気なうちは石仏を撮り続けるのだと、意気込みを語ってくれました。
ぜひ会場へ足を運び、石仏の愛らしい表情に心を癒されてみてはいかがでしょう。

左が新作のムック本『心が癒される 石仏撮影を楽しむ』(日本カメラ)。

ファンが多いという「石仏カレンダー」も、会場で販売されています。寺院の仏像とはまた違った風情と親しみやすさが、石仏にはあります。

【楳村 修治 写真展「愛しき石仏たち」】
会期:2017年12月1日(金)~12月7日(木)
平日10:30~19:00/土・日11:00~17:00(最終日は14:00まで)
会場:富士フォトギャラリー銀座
http://www.prolab-create.jp/gallery/ginza/