大山 謙一郎 凝視展(その43)「うさぎ追いし かの山」

レポート / 2017年12月26日

70年代パリの下町「ピガール」で繰り広げられる人間模様!

会場入口の様子。原稿用紙にペリカンの万年筆で書かれたステイトメントが来廊者を迎えます。当時のピガールの情景が目に浮かびます。

ルーブルからモンマルトルへ向かう途中にあるピガール地区。今でこそお洒落なバーなどが増え話題となっているこの地区は、1970年代は歓楽街として多くの人が行き交っていた場所です。
会場に展示されているのは、ピガール地区で繰り広げられる人間模様を収めたモノクロームの作品約35点。
写真家の大山謙一郎さんは、パリに住んでいた1975年から1980年にかけての5年間、ピガール地区の人々を撮影。顔見知りになった人々の自然な表情は、現地に住むからこそ見えてくるものだと言います。朝に夕に1杯のビール・ワインで心を癒す人々、商店街の片隅に屋台を出す男性、1フランを求めて道ゆく人に声を掛ける路上生活者の男性、昼間の街角をローラースケートで颯爽と走り抜ける少女たち。どの作品からも、70年代パリの下町の空気が漂ってきます。

大山さんの41回目の個展(巡回展は全箇所合わせて1回と計算)。作品を観ていると、ピガール地区に訪れてみたくなります。ちなみにこの写真には映っていませんが、展示作品の一部にマフィアが映っているのだとか…。

「いかがわしい地区だからこそ、興味をそそられる人が多い。だから面白い(笑)。毎日通っていると顔見知りになるでしょ。そうすると一緒にワインを飲むんです。ピガールで働く人や普通の会社員が行き交い、中には路上生活者やビジネスマンみたいな身なりの客引きも。本当にいろんな人が集まった街でした」。

大山さんの作品を通して伝わってくる、ピガール地区の雰囲気とそこに集う人々の発するエネルギーが交じり合った70年代パリの空気を感じたい方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

会場の受付にある芳名帳。オマーン国で購入したもので、1945年に開催したオマーンの写真展で使用して以来、ずっと使っているそうです。「残りのページが埋まるまでは凝視展をしたいですね」と、大山さん。

【大山 謙一郎 凝視展(その41)「Pigalle(ピガール)」】
会期:2017年12月22日(金)~12月27日(水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会場:オリンパスギャラリー東京
https://fotopus.com/event_camp…/showroomgallery/detail/c/784

また、キヤノンギャラリー福岡でも大山さんの凝視展が開催されています!お近くの方はぜひ会場へ足をお運びください。
【大山 謙一郎 凝視展(その43)「うさぎ追いし かの山」】
会期:2017年12月7日(木)〜12月28日(木)
10:00〜18:00
http://cweb.canon.jp/galle…/archive/oyama-gyoushi/index.html