薄井 大還 写真展「天と地の境で」-ダライ・ラマの住む頂き-

レポート / 2019年6月19日

30年かけて撮影したダライ・ラマ14世とその教え

今回の写真展は、東京・馬喰町にあるKiyoyuki Kuwabara AGで開催された写真展の巡回展。代表の桑原さんが京都での展示会場を探していた時に、会場の立地や雰囲気を気に入っていただき、巡回展が実現しました。

写真家の薄井大還さんは、「世界平和に貢献する人々」をテーマにこれまでマザー・テレサやアウンサンスーチー、ネルソン・マンデラなど数々のノーベル平和賞受賞者を撮ってきた方。ダライ・ラマ14世の撮影も1991年からはじめ、30年にもおよぶそうです。

取材中の様子。ダライ・ラマの「ティーチング」は一日8時間を4〜8日間ぶっ通しで行われ、世界中から数万人が聴講に駆けつける。左はチベット仏教の原点カーラチャクラ尊の解説。

今回展示している作品は、ダライ・ラマとの親交を深め、信頼関係を築いて撮り続けてきた作品群に加えて、昨年12月初めから今年1月末までにチベット亡命政権の拠点があるインド北部のダムラサラに行って撮影してきたばかりの作品も展示。薄井さんご自身が制作した解説キャプションは、チベット仏教の奥義の解説や、具体的な現地のマップなど本展示の背景理解を助けます。
「世の中の、弱者に対して尽くしている方々にとても惹かれるんです。ダライ・ラマ14世は自分や家族、側近ののみの亡命ではなく、チベット国民の命とチベット文化を守る為に、農夫や牧童、仏具師など多くの国民と共に大氷河や海抜6500メートルのヒマラヤを越え34日かけて、インドへ亡命してきた。その大変な亡命生活の現状を撮影してきたからには、多くの方々にダライ・ラマの教えとチベット難民の現状を知ってほしい。そんな想いで、展覧会を開くのです」と薄井さん。

本展のメインパート。薄井さんが切り取った写真からダライ・ラマの教えの本質がにじみ出る。

数百年続くチベット仏教の聖地であり、ダライ・ラマの夏の離宮がある、ラダック。今年5月10日にイスラム国が「ヒンド州設立」を宣言した。十年前にチベット仏教信者によって90mの阿弥陀如来像が建てられている。

チベット亡命政権の拠点ダムラサラへ辿り着くため、氷河に囲まれた険しい山を超えなければいけない。

一般人は決して立ち入ることのできない、ダライ・ラマ14世ご自身の部屋で、チベット仏教の四大宗派の法衣を纏った姿などは、世界で初めての作品展示であり貴重な写真展です。関西の皆さま方、そして東京で見逃した方々もぜひ足をお運びください。

会場では薄井さん撮影の『ダライ・ラマ希望のことば』(春秋社¥1,400+税)。
2014年に公開された映画『ダライ・ラマ14世』のパンフレットも販売。また、今回の京都写真美術館での作品展示に合わせ、薄井大還さんの作品が、『日本カメラ7月号』に表紙を含め口絵で特集されており、会場でもお買い求めいただけます。あわせてご覧ください。

【薄井 大還 写真展「天と地の境で」-ダライ・ラマの住む頂き-】
会期:2019年6月11日(火)~ 6月30日(日)
時間:11:00~18:30 ※無休、入場無料
会場:京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 1階展示室「月」
https://kyoto-muse.jp/exhibition/10745