〜美しき闇に秘められた、人類への警鐘〜
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世界の夜景を一冊に凝縮した名著『世界のまがとき、カメラ旅』(日本写真企画)が、会場でお買い求めいただけます。なんと!藤村さんのサイン付きの特別仕様ですので、こちらも併せてぜひ!
世界500都市以上を訪れ、夜景や世界遺産、建築、名所など、人々の営みが織り成す美しい風景をカメラに収めてきた、写真家の藤村さん。今回の企画展では、夜の世界ならではの魅力と、その裏に潜む闇を表現されたとのこと。 会場には、藤村さんによって切り取られた、世界の幻想的な夜景作品の数々が展示されています。それらの作品は、各都市が内包する歴史や文化、そこで生きる人々の暮らしまでをも感じさせてくれます。そして、密度の濃い夜の世界は、光をより鮮明に際立たせ、煌びやでどこか妖しげな魅力を放つ闇へと見る者を誘います。
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――今回の企画展は、藤村さんの近年のテーマである「宇宙へと繋がる人の心」をコンセプトとした写真展の第二弾にあたるとのことですが、開催までの経緯を教えてください。
僕の創作活動の根底には、万物の生みの親である宇宙と、我々人類との間にある繋がりを、写真で表現したいという想いがずっとありました。それを写真展の形として昇華したのが、2018年に坂出市民美術館で開催した個展「Earth Glow」。その時は地球の輝きというテーマで、文明、大地、命の3部構成で展示を行いました。当時は、このテーマでシリーズ化するとは思ってもいませんでした。ですが、今回の企画展の構成を考える中で、今までのような美しく癒される面だけではなく、ネガティブな一面も見せることで、本質的なものを表現したいとは漠然と考えていて。そんな意図が今回の企画展には秘められています。
――作品に込められた、美しいだけではないネガティブな一面、とても気になります。
地球を美しくないものにしつつある、人類への警鐘を込めています。地球が誕生してから約46億年。その中で人類の文明の歴史は6千年くらいに過ぎません。その僅かな間に、人類は美しい地球を破壊、汚染し、そして多くの過ちを犯してきました。そんな人類に対し、俯瞰した視点からこの美しい地球を見せることで、人類が地球によって生かされているのだということを再確認してほしいという想いがあります。
――そのような2面性のあるテーマに即した展示の構成は、とても印象的に感じました。
今回の企画展は、作品自体は美しい反面、テーマはちょっと重いものになっています。全体像として、最初に夜の世界の美しい面を見せ、次にタイムワープを連想させるようなイメージを見せ、そして、古き良き時代を彷彿させるような街並みの写真に移り、クライマックスには、人類による文明の破壊を表現した写真が現れる、といったイメージで構成しています。その中には、人類が犯した2つの大罪である、大虐殺とテロの写真も含まれます。人類が犯した過ちを決して繰り返して欲しくないという、強い想いを込めています。
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―― ライフワークとして25年以上もの間、世界の夜景を撮影され続けていますが、そもそも夜景を被写体として選ばれたきっかけを教えてください。
もともと植村正春さんのアシスタントをやっていて、植村さんは1日の終わりには必ず夜景を撮られていました。なので、僕も夜景を撮って1日を終えることが習慣になりました。また、2002年に発表した世界の夜景作品「暮色情景」が話題になったこともあって、いつの間にか夜景の人になったみたいです(笑)
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―― 今後はどのようなテーマを撮りたいと考えていますか?
今回のようなテーマで、3回目、4回目とできたら面白いなとは思っています。被写体は夜景に限らず、テーマに沿っていれば、昼と夜の風景を混ぜても面白そう!今年の12月、外苑前にあるNine Galleryで写真展を開催予定です。その写真展では、イメージをガラッと変えてみようと思っています。僕のイメージである夜景以外の、新しい一面を見せられるような展示を考えています。
藤村さんの作品からは、美しさを超えたところにある気付きを得られます。次はどんな発見があるのか、今後の作品からも目が離せません!ぜひ会場で、美しい闇の世界を体感してみてください。
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※ LUMIX GINZA TOKYOでは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、マスクの着用と備え付けの消毒液による、入店前の手指の消毒が実施されております。また、混雑状況に応じて入場制限もされるそうなので、余裕をもってお出かけください。
【藤村大介写真展「Invitation to Darkness ~美しき闇への誘い~ 」】
会場: LUMIX GINZA TOKYO (月曜休館)
会期:2020年7月3日(金) 〜 2020年8月5日(水)
11:00〜19:00
https://lumix-ginza.jp/gallery/13
藤村 大介さん 公式ホームページ http://fujimuradaisuke.net/
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