写真家の奥山美由紀さん、小原一真さん、木村肇さん、林典子さんらによる写真展「Reimagining War」が、東京の東尾久にあるギャラリーOGU MAGにて8月1日(土)より開催中です。本展は、戦後生まれの写真家4名それぞれの視点から、「アジア・太平洋戦争」にアプローチした展示となっています。
2020 年 8 月で日本の敗戦から 75 年を迎える。
アジア・太平洋戦争という言葉を考えるとき、その先にある対象の漠然とした、そして途方もない広さにしばし思考が途切れてしまうのは、それはおそらくその文字通りの地理的広さと 75 年という月日を経る中で、私たち自身がその言葉に接点を見出すことが難しいからかもしれない。あの戦争を経験していない現代の若者にとって、その接点とは歴史の授業であり、映画であり、小説であり、そして、一部の幸運な人間にとっては、祖父母、曽祖父母世代から聞いた生きた声だった。残念ながら、それらの幸運な機会を持つことが出来る人々は向こう 10年、20 年でほぼ完全に失われ、それから先は、その機会を持つことが出来た人たちの声を頼りに、それらのことを想像するしか出来なくなる。戦争が歴史の年表における完全な過去となる。
しかし、戦争を「ある物語」が始まった一つの起点と捉えたとき、それは未だに続く一連の出来事の一つの断片でしかないことに気づかされる。それら、戦争が残した物語は、経済復興を遂げてもインターネットが普及しても、個人の中に残り続け、次世代へと伝播していく。それらの多くは長い間、沈黙を強いられながらも、勇気ある人々の意思によって、今なお続く戦争の物語として、過去と断絶された接点をもう一度現在に接続してくれる。
写真展「Reimagining War」は、それら過去と現在の接点を写真家自身が見出しながら、「過去の大戦」ではない、今なお「戦争と地続きにある物語」を記録した作品が展示される。インドネシア、オランダ、オーストラリア、マレーシア 、北朝鮮、韓国、そして東京、大阪。それぞれ、異なる地で撮られた異なる人々・風景の写真はアジア・太平洋戦争を一つの起点としながら、75 年の時間の経過を追いながら現在から見た戦争の一つの帰結を提示する。
戦争を知らない写真家たちが記録した戦争の物語。それらの物語が、これからの私たちの中にとどまり、今一度、戦争とは何かということを考えるきっかけになることを心から願っている。
※YouTubeにて、アーティストトークも公開中です。
こちらをご覧いただくと、より作品への理解が深まります。ぜひご覧ください!
LIVEトーク「戦争をとどめる- 今、なぜ戦争を伝えるのか」
登壇者 奥山美由紀 × 小原一真 × 木村肇 × 林典子 × 若山満大
https://www.reimaginingwar.com/event
【「Reimagining War」】
会場:OGU MAG
会期:2020年8月1日(土)~8月9日(日)
13:00~19:00(最終日のみ 10:00 ~17:00)
公式ホームページ https://www.reimaginingwar.com/
Facebook https://www.facebook.com/Photo-Exhibition-Reimagining-War-Aug-2020-Tokyo-103388748097402/