河村 理沙 写真展「Curtain Call」

レポート / 2020年9月9日

~ロンドンのさりげない日常のワンシーン~

会場にて、河村さん。
今後について、ロンドンは緑が多く公園が多いとのこと。それぞれの公園に個性があり、いつか公園で撮った写真だけを展示してみるのも面白いな、とお聞きしました。

新型コロナウイルス感染拡大防止のための臨時休館に伴い、会期が変更になった河村理沙さんの写真展「Curtain Call」。2年前、河村さんのはじめての個展「Telling Stories」も取材させていただいたのですが、今回もお邪魔してお話を伺ってきました。

タイトルである「Curtain Call」の舞台に見立て、カーテン越しに「1日の中に四季がある」と言われるほど変化が激しい、ロンドンの1日を表現されたという作品たち。窓っぽさを表すためアクリルにプリントされた作品は、窓ガラス越しに見ているというリアル感が、より感じられます。
晴れる日が少なく、太陽が顔を出せば窓を明けて日光浴をするのがロンドンっ子とのこと。

ーテーマは「Telling Stories」と同じなのでしょうか。

そうですね。ロンドンを5年間ずっと撮り続けてきて、観光客という感覚は薄れ、かといって住んでいる人ほど親しんではいない、その中間の視点から見たものです。最近は住んでいる人の感覚に近くなり、初期の頃のような作品は撮れなくなってきたので、一度作品をまとめて発表したいというのが今回の展示になります。
タイトルは前回の「Telling Stories」で撮ってきたストーリーの出演者たちを、アンコールで呼び戻してくるという意味を込め「Curtain Call」にしました。

「Telling Stories」の時より一回り小さいサイズでランダムな配置の展示は、街を散歩しているような気持になってもらえれば、とのこと。

ー人との距離感がちょうどいいなと感じられる作品ですね。

意識して撮っているわけではないのですが、並べてみると風景の中に人がいるものが多く、最近撮ったものはカメラ目線も増え、はじめの頃に比べて人との距離も一歩二歩近づいていると思います。ロンドンに行っている自分が、観光客から住んでいる人のように変わっていっているのが、写真の距離感に表れているかもしれませんね。

プロフィール

ライフワークとしてロンドンを撮り続けている河村さん。
「このまま撮り続けていったら自分の作品がどう変わっていくだろう、という興味があります。自分でも見慣れてきたことで、5年前のように新鮮な目で見るというより、日常に近い感覚で、日本で撮るスナップと同じ感覚で撮れるようになってきました。最近はシャッターを切る回数も減り、撮りたいものがより見えてきたと感じています」。

風景の中に人が入るように意識されていて、その撮られた人たちが素敵な写真だなと思ってもらえるような作品をこれからも撮っていきたい、と話されているのが印象的でした。現在は海外に行くのが難しい状況ですが、ロンドンに行けるようになる頃には、撮りたいものも変わってくるかも、とのこと。

ステートメント

ロンドンの日常という自分とはかけ離れた世界のことなのに、河村さんが心の動く瞬間を丁寧に切り撮った作品を見ていると、自分もその街に紛れこみ、行き交う人々を何とはなしにカフェで見つめているような錯覚におちいります。ロンドンの街、そして人への河村さんの愛が伝わってくる写真展。ぜひ足をお運びください。

会場では写真集も販売されています。会場に来られない方には、オンラインでの販売も。

【河村 理沙 写真展「Curtain Call」】
会期:2020年9月4日(金)~9月17日(木)
11:00~17:00(最終日は14:00まで)
会場:エプソンスクエア丸の内 エプサイト(日曜定休)
https://www.epson.jp/showroom/marunouchi/epsite/gallery/exhibitions/2020/0228/

河村さんのWebサイト
http://www.risakawamura.com/