【写真展紹介】「性暴力サバイバー ビジュアルボイス写真展」

写真展紹介 / 2020年12月7日

STAND Still主催「性暴力サバイバー ビジュアルボイス写真展」が、12月12日(土)まで、あざみ野駅より徒歩5分ほどのところにあるアートフォーラムあざみ野 男女共同参画センター横浜北のミニギャラリーで開催されています。11月12日~25日の「女性に対する暴力をなくす運動」期間に合わせての取り組みでもあり、同会場には関連書籍も充実しています。

本展は、Me Too運動(※1)の中で浮き彫りとなったMe Tooと言えない被害者達のために、安全で自由に表現できる場作りの必要性を感じたフォトジャーナリスト大藪 順子さん(※2)が、2019年より開始したプロジェクト「STAND Still:性暴力サバイバービジュアルボイス」の写真展です。本プロジェクトは、大藪さんが全米各地と日本において約80人の性暴力被害者を取材撮影したプロジェクト「STAND:性暴力サバイバーたち」の第二弾でもあります。

会場に並ぶ写真を撮影したのはプロのアーティストではなく、様々なバックグラウンドを持つ性暴力サバイバーの方々。フォトジャーナリストの大藪さんがサバイバーの方々を撮影するのではなく、犯罪被害者として被写体にされがちなサバイバーご自身たちが「写す」というプロセスを辿ることで、被害者の世界が内側から可視化されています。そして写真を介し、被害者に対する偏見や先入観に気づくきっかけを提供することが本展開催の目的のひとつでもあります。

■ STAND Stillとは

STAND Stillは、大藪さんが代表を務める団体・Picture This Japanから独立する形で設立されました。全6回のワークショップにおいて「思い」を写すことに取り組み、また希望者は自分の写真や被害体験について他のメンバーと共有することで、内なる思いを形あるものへと変えているとのこと。

STAND Stillの「Still」には、「たたずむ」「性暴力を取り巻く社会変化を静かに見つめている」という意味が込められており、その背景には、被害について声を上げられる人は氷山の一角でしかなく、被害者の多くは自身の安全を守るため、公に声を上げることができないといった現状があります。

そしてSTAND Stillは、大きく分けて2つの活動に取り組まれています。

①声を上げる事が出来ない、しない事を選択した事で、支援者や当事者仲間からも疎外感を感じているサバイバーに対し、公にするしないは関係なく、安全に自由に表現できる環境を作り、サバイバー自身が撮った写真に写りこむ自分と向き合う中で自らをエンパワメントすることに繋げる。

②サバイバーの写真作品展やギャラリートークを開催し、サバイバーたちの世界と思いを社会へ発信。これにより、偏見や思い込みで出来上がった性暴力サバイバーへの固定概念を変えるきっかけや、よき理解者を増やす事、そして、性暴力という社会問題解決の糸口に繋げる。それにより、頑張って声を上げなくても普通に支援が受けられる社会を目指す。(STAND Still WEBサイトより引用

「生き延びるために、脱いだ。衣服を、身体を、記憶を。生き延びて、再発見した。手放したものにも、宿る輝きがあることを」(Mariaさん 34歳)全ての展示写真には、撮影者の思いも綴られています。

「トンネルの中は、発見の世界だった。いつもそばにいたのに見えていなかった。友達の被害体験と苦しみ。性暴力とは関係ないと、無関心な社会に加担して加害者側にいた自分。そんな私の手をとって、一緒に通りぬけてくれた友達と支援者達。ありがとう。あなたがいたから、私がいる」(大藪順子さん 49歳)

「どんなに辛くとも、過去を変える事はできない。だが、私の今と未来は変えてゆける。ならば生きて伝えたい。どんなに今が暗闇の中だとしても、必ず出口はある。あなたはかけがえのない大切な存在である」(彩咲りんさん 38歳)

■ なぜ写真で表現されているのか

撮る人の視線や思いが写るからです。大藪さんは「綺麗な写真である必要はない」と繰り返し語られました。写真は誰でもシャッターを押せば撮ることが出来ますが、その人にしか撮れない写真を見出すのは容易なことではありません。自分と向き合うという作業が必要になるからです。撮った写真から、作者本人が客観的に自分を見て考え、思いを整理することが出来ます。また写真は、言葉にならない思いを伝えるツールにもなるのです。(STAND Still WEBサイトより引用

■本展最終日の12月12日(土)には、13:30から大藪さんがファシリテーターを務めるギャラリートークも開催予定です。ぜひ会場へ足をお運びください!(ギャラリートークの詳細やお申込みはこちら

※1「Me Too運動」:セクシャルハラスメントや性的暴行の被害体験をSNS用語「#Me Too」を活用して告白・共有するムーブメント。

※2「大藪 順子」:フォトジャーナリスト。コロンビア大学卒業後、アメリカの新聞社で働く傍ら、全米各地と日本で約80人の性暴力被害者を取材撮影したプロジェクト「STAND:性暴力サバイバーたち」は、テレビドキュメンタリーとなり反響を呼び、全米各地で写真展と講演会を展開。2002年ワシントンDCよりビジョナリーアワード、2008年やよりジャーナリスト賞、2011年シカゴの母校より卒業生賞受賞。2007年には、著書「STAND 立ち上がる選択」(フォレストブックス)出版。2018年より団体Picture This Japanを立ち上げ、社会的弱者といわれる人たちが自ら思いを写すことを通して自身と向き合い、声を見出すためのフォトプロジェクトの企画・運営を行っている。(Picture This Japan WEBサイトより引用

ステートメント

【「性暴力サバイバー ビジュアルボイス写真展」】
会場:アートフォーラムあざみ野 男女共同参画センター横浜北 ミニギャラリー
会期:2020年11月29日(日)〜2020年12月12日(土)
9:00~21:00(日曜・祝日および最終日は17:00まで)
https://standstill.jimdofree.com/information/

STAND Still WEBサイト
https://standstill.jimdofree.com/
Picture This Japan WEBサイト
https://www.picturethisjapan.com/