顧 天下 写真展「See you cowgirl,someday somewhere.」

レポート / 2021年2月1日

~撮られた女性たち自身を、よりボーダレスに感じることができる写真展~

会場にて、 顧天下さん 。タイトルにもある 「cowgirl」 とは、 女性たちを強い心とアイデンティティをもつ存在として表現されたとのこと。 男性の留学生を撮らない理由については、ほとんど(自分の知る範囲では)がゲーム機やPCをはじめとしたガジェット類を持ち、部屋に置いているものに違いがないからとのこと。

2018年に行った「遠くにある家」展の続編ともいうべきもの。今回の展示でも友人からの紹介、SNSでの募集やDMなどで、45名ほどの女性の中国人留学生たちを撮影されたとお聞きしました。
初対面の彼女たちとコミュニケーションをとり撮影していくことは、女性のもつ身体性と空間の関連性について研究しているという顧天下さんにとって、興味がつきないのだと言います。
まるで人形のような女性たちの姿と、生々しくも感じる部屋というプライベート空間は、フェイクとリアルという世界の境界線をも曖昧にしていくように感じます。

展示方法は前回とは異なり、B0のカラー作品7点を含む合計43点の作品が展示されています。

B5サイズのモノクロ作品たち

モノクロ作品は、写真を撮る前の準備しているときや、その後のリラックスしているときに撮ったものとのこと。真実の姿(実像):モノクロ作品と、虚像:カラー作品という二つの世界に流れている時間と、またそれを同じ写真展の中で表現することで、空間性を感じてほしいとお聞きしました。

それぞれの部屋には「好きなモノ」、それを自分の身近に置くという 女性ならではのパーソナリティな部分が反映されていて、部屋の空間自体とても興味深いです。また被写体と撮影者である顧天下さんとの距離がちょうど良く、彼女たち自身を私たちも客観的に見つめることができます。それはその人たち自身を知る前に、カテゴリー分けをしてしまう、自分たちの見方を変えるものかもしれません。

人に見せるべきといった自分の一面、また普段を垣間見せる素顔の一面は、異なるようでいて同じもの。どちらも彼女たちにとってはリアルでもあり、フェイクでもあるという合わせ鏡のような関係です。より彼女たちを知りたいと思わされます。会場にお邪魔したときに紹介ムービーも撮られていましたので、そちらもぜひご覧ください。

大きな作品それぞれにあるQRコードがとてもユニークです。 作品によってQRコードの位置が違っているのは、顧さん自身がはじめて彼女たちの部屋に入ったときの視点などが反映されていて、作品を見る私たちにもそれを体感してほしいとのこと。

上の作品と連動しているQRコード。そのURL先には彼女たちのリアルな姿というべきインタビューとプライベート写真が掲載。作品と共に見ることで、彼女たち自身の姿をよりボーダレスに感じることができます。

【顧 天下 写真展「See you cowgirl,someday somewhere.」】
会期:2021年1月25日(月)~1月31日(日)
12:00~19:00
会場:Place M
https://www.placem.com/schedule/2021/main/20210125/exhibition.php

顧天下さんのWebサイト
https://www.gu-tianxia.com/

galerie lieu lieu Tokyo
(顧天下さんの展示の動画が掲載されているYouTubeのチャンネルです。今後海外の作家さんなども紹介されるとのことです)
https://www.youtube.com/channel/UCywhxvKe4AGxoGmQWlqmIYg