写真家 豊吉雅昭『BrainBrunn ART AWARD2023』

レポート / 2023年4月1日

近年積極的にアワードに応募され受賞されている豊吉さん。「常に応募の準備に追われています(笑)」と話されていました。

以前、取材させていただいた写真家 豊吉雅昭さんから『BrainBrunn ART AWARD2023』入賞のお知らせをいただき、東京・八王子のBrainBrunnGALLERYに行ってきました。

『BrainBrunn ART AWARD2023』は現代アートの公募展。今回のアワードでは応募者数も前回のほぼ倍に増え、魅力あふれる作品揃いで最後まで審査は難航されたとのこと。展示された受賞作は、いずれも固定観念にとらわれない心揺さぶられる作品ばかりです。会場であるBrainBrunnGALLERYは、油性マジック画家である溝渕ゆう子さんが創設。ガラスブロックに赤い扉が特徴的な外観で、扉を開けるとそこはヨーロッパのサロンのようなインテリアと、自然光がたっぷり差し込む光溢れる空間が広がっています。中でも私が一番目を奪われたのは赤い壁面で、それは展示作品をより輝かせるようなエナジーが感じられました。
展示は2階のメインギャラリーでされており、その一画に豊吉さんの作品が。お話を伺ってきました。


ー今回の受賞作もですが、最近発表されているのは主にカラー作品のようですが…

個展まではモノクロ作品しか作っていなかったのですが、あの時多くの方に見ていただき、中でも飯沢耕太郎さんからの「もっと唖然とするものを見せてほしい」というのがきっかけですね。
僕は(緑内障で)見えない色があり、特に淡い色は全然ダメです。それもあってカラーを苦手としていて、していなかったのですが。唖然とするもの、それをハッキリ何かとは今言えませんが、とにかく(カラーも)やってみようと思い、個展以降は全部カラーです!

ー豊吉さんにとって見えるもの、白黒のコントラストの強い世界を表現されていたのが、今はそうではなくですね。

そうです。毎日Instagramにはあげていて、基本ビビットなものばかりです。この作品は(受賞作)、渋谷の南口首都高のガード下に向かっているのを撮りましたが、夜だとやはり看板やライトの影響で色が濃くでていてとらえやすいです。
最初のころは銀座をはじめとした街を撮っていましたが、途中から以前撮ったスペインの写真を出してきてそれを仕上げています。きっかけはミーハーな話ですが、去年W杯で日本がスペインに勝ったのを見て「これはスペインの作品を作るしかない」と!(笑)行った時のメモも引っぱり出してきて、作業しています。

ーアワードへの応募など積極的に活動されていますが、個展をやったことで新たなビジョンがうまれましたか?

それはあります。一つはまた個展をやりたい!なのでお金が欲しいという(笑)お金を出しさえすれば展示ができるのは分かっています、でもそれだと道楽のようで嫌なんです。少なくとも一回は何か結果を出したい!受賞もしていますがその5~6倍は落ちていますから…(笑)
他の写真家さんを見て、まだまだやれることはいっぱいあると思っていて。またこういった現代美術の世界に来ると、写真だけではない違った知見を得ることができて勉強になっています。

ー具体的にはどういったことでしょうか。

作品づくりへの姿勢がとても参考になりますね。作品自体からインスピレーションを受けて、こういったものを撮ってみようということもありますし。知人でコンテンポラリーダンスをしている人がいて、見に行くたびに新しい発想がうまれたり、展示されたものというだけではなく、様々なところから刺激を受けています。
このやり方が上手くいくという正解はなく、自分に合ったやり方を試行錯誤していくしかないと分かってはいますが、その辺の貪欲さが現代美術をされている方からすごく感じます。
Sellも同時にと思ったら、やれることは可能な限りやっていかないと!作品に対して照れがあって、自分の中でこんなのって言ってるときはダメでしたが、一生懸命やっているとキチンと理解して応援してくれる人がいるということを、本当に実感しています。

ーしばらくはカラー作品をということでしょうか。

あと1~2年はと考えています。カラー作品の方が浸透性が高いと感じていて、それがモノクロ作品との違いだなと…。もうそろそろスペインの作品も終わりそうで100点を越してしまいそうです。新しいシリーズも作りはじめるので、どこかで一区切りとして展示をと思っています。

ー今後の活動についてお聞きしてもいいでしょうか。

4月17日からのArt Gallery M84『アートの競演 2023 春光』に出展しています。それ以降は応募に通ったらやるみたいな(笑)


豊吉さんにとってはすでに失われた色彩の世界は、観る人にたくさんの感情を呼び起こします。いかに私たちが普段見ているのが、色に頼ったものなのかということを考えさせられます。緻密で美しいディテールとともに、次に見せてくれる世界がとても楽しみです。ペイントをはじめとした現代アートの受賞作も一緒に鑑賞する貴重な機会、ぜひ足をお運びください!

『第2回 BrainBrunn ART AWARD2023』
会期:2023年2月8日(水)〜4月9日(日)
12:00〜18:00
会場:BrainBrunnGALLERY 2Fメインギャラリー
https://www.brain-brunn.com/

※事前予約優先でご案内しております。詳細についてはこちらをご覧ください
https://select-type.com/rsv/?id=C-CbJld9hNs&c_id=212863

豊吉さんのWebサイト
https://toyokiti.com

豊吉さんの写真展「MONOCLE VISION」取材記事
https://kyoto-muse.jp/news/151747